「ジュニアたちが軽んじられている」

『タイプロ』がスタートしたことで、ファンも2つの大きな変動の波に吞まれることとなりました。ひとつは、グループがいまだかつてない“増員”に臨んだこと。もうひとつは、増員するメンバーを事務所の外からも求めたことです。

 これまで、ジャニーズ事務所(現・STARTO ENTERTAINMENT)所属のタレントがデビュー組に名を連ねるには、ジュニアの経験を経て見出されなければなりませんでした。事務所のファンからすれば、「すでによく知っているあの子が今度デビューする」という道筋が王道で、どこの誰ともわからぬ人がいきなりデビューするなど寝耳に水。

『タイプロ』が発表された当初、「これではデビューを目指して血のにじむ思いでがんばっているジュニアたちが軽んじられるようで、納得できない」と嘆く人も多くいました。

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※写真はイメージ ©SunnySide/イメージマート

 菊池さんは、オーディションで伸び悩む候補者に対し「殻、破れよ」と檄を飛ばしました。しかし、この言葉はまたファンへのメッセージでもあったのかもしれません。2つの衝撃を受けて戸惑うファンに、閉じこもらず心を開いてみてほしいと。

 今のままグループを営むこともできなくはないけれど、メンバーが減っていくことに慣れてしまっては、やがて消滅をも招く怖れがある。攻撃は最大の防御。ともに生きるためにメンバーを補強し、そこにいたる物語をつまびらかにする『タイプロ』は、timeleszからファンへの真摯なラブレターなのだと思います。

『timelesz project』公式Xより

 timeleszが重ねてきた歴史、そして彼らに寄り添ってきたファンの思い。これらはオーディションが進むにつれ候補生たちにも伝わったのではないでしょうか。『タイプロ』がこれほど注目を集めるプロジェクトとなったのは、その思いに応えたいと懸命にもがく彼らの姿に多くの人が胸を打たれているからなのでしょう。