「下がったとしても最大で500円…」

「下がったとしても最大で500円がいいところじゃないでしょうか。コシヒカリ5kg4400円なら3900円、他の銘柄で4000円なら3500円くらいだと思います。備蓄米は政府が契約している倉庫に保管されていますが、維持費も年間478億円かかっている。倉庫から備蓄米を出すにも、輸送コストなどがかかるでしょう。現状で5kg3000円台前半に戻ることはないと見ています」

 農業ジャーナリストの石堂徹生氏もこう語る。

「肥料や農機具の費用など生産コストが上がっていて、農家は米を作るだけで赤字です。昨年、JAが概算金(米の集荷時に農家に支払う前払い金)の値段を2〜4割値上げしています。つまり、農家やJAが損をしないよう、価格はどんなに下がっても2割くらいに落ち着く。5kg4000円の米なら3200円程度と見ています」

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 一方で、外国産米の意外な影響を指摘するのは福士社長だ。

「国産米は5kgで3000円を切ることはないでしょう。今、米国産など外国産米が1kg500〜600円に値上がりしています。5kgなら2500〜3000円の計算です。農水省は国産米を外国産米より安くするのは避けたいはずです」

 総務省の小売物価統計によれば、新潟市の場合、22年はコシヒカリ5kg2129円だったが、24年は2700円まで高騰している。札幌市に至ってはコシヒカリ5kgあたりの値段が22年の2443円から24年には3329円まで値上がりしていた。

 いずれの専門家に聞いても、米の価格は、1割から2割ほどしか下がらないと予想しており、庶民にとって一安心とは程遠いことになりそうだ。

 そもそも、昨年の夏に米が不足した時は、「新米が流通すれば、価格は下がる」という話だった。なぜ、米の価格は下がらなかったのか。農水省の見解を聞いた。