『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』(三宅香帆 著)ディスカヴァー携書

 好きな作品や俳優など「推し」の良さを伝えたいのにうまく言語化できない。編集者のそんな悩みから生まれた『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』を発売後1年あまりで改題、新書化した本書が大ヒット中だ。

「単行本を新書化する時期は市場在庫がなくなった頃を見計らうのが一般的。ですが本書は著者の新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』のヒットを受け、隣に並べて売ってもらおうと考え、異例ともいえる速さで新書化しました」(担当編集者の小石亜季さん)

 単行本は比較的若い層をターゲットにしていたが、新書化にあたってはカルチャーが好きな幅広い年齢層に寄せて改題。著者による宣伝のほか、インフルエンサーがSNSで取り上げたことで広まった。狙いどおり書店でも話題の著者ということで、目立つ場所に本を置いてもらえたという。

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 言語化に必要なのは、語彙力や文章力ではなく、自分の言葉をつくること。そのためにはSNSから流れ込んでくる他人の言葉に影響されず、自分の思いを細分化することが大切と、表現するための技術を丁寧に解説している。

「推し活をしている方からのファンレターを書く勇気が出たといった声だけでなく、ビジネスの現場でプレゼン技術の向上に役立ったという声も届いています」(担当編集者の野村美空さん)

2024年7月発売。初版6200部。現在16刷20万部(電子含む)