──早い結婚ですよね。
北條 親元から出て新しい自分の居場所をつくるいいチャンスだと思い、結婚しました。その後は事務職に就き、今は兼業主婦をしています。
──障害者職業能力開発校の同級生ということは、パートナーにも障害が?
北條 夫は硬膜外血腫のため、左半身に麻痺があります。補装具なしで自立歩行はできますが、障害は残っていますね。でも、彼は障害者になったあとにバックパッカーで世界を廻るなど行動力があって、そこに惹かれました。
──生活面で苦労はありますか。
北條 夫は高次脳機能障害があって、記憶力が弱かったりちょっと混乱することがあります。だから私が見えない部分は彼が補い、彼が苦手な部分は私がやっています。たとえば洗濯物を運ぶのは彼にやってもらい、干す、たたむなどの細かい作業は私が担当して助け合っています。
「今の視力は、調子がいい日で0.02くらいです」
──北條さんの今の視力はどれくらいですか?
北條 中3の頃までは、メガネをかければなんとか視力0.05くらいあったんですが、眼精疲労で頭痛がひどくなってきて。眼科の先生に言われて、18歳でメガネをやめました。今の視力は、調子がいい日で0.02くらいです。
──どういう見え方なのでしょうか。
北條 視覚障害者あるあるなんですけど、視力測定では0.02などの数値が出るんです。でも実際の見え方は「霧に包まれている」状態。視界が白く霞んでいて、物や人の輪郭がはっきりしない感じです。
──スマホをお持ちですよね。
北條 スマホの文字は拡大表示して、画面を白黒反転させてルーペを使えば見えます。でも長時間だと目が疲れるので、普段は音声読み上げや音声入力を活用しています。
以前はまぶしい場所が苦手だったんですが、最近は白内障の悪化で黒目の白濁が濃くなってしまい、暗い場所のほうが見えにくくて。ここ数年は日常的に目薬をさして、目に光を入れています。