70年以上使われた駅舎がリニューアルしたいまは…

 そんな旧松山駅舎も役割を終えてしまった。2024年9月、松山駅は高架駅舎に衣替え。高架下には飲食店や土産物店が入り、それまでは出入口すら持たなかった駅西側に出られる自由通路も設けられた。

 

 牧歌的な面影は失われても、利便性という点では充分に胸を張れるような、そんな高架の駅に生まれ変わったのである。

 ただし、旧駅舎そのものはまだ残っていた。というより、市街地に面する駅東側のロータリーから高架になった新駅舎に入るには、いったん旧駅舎の中を通らねばならない構造になっているのだ。

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 かつて改札口やきっぷ売り場があったであろう一角はひとけが消えてがらんどう。もちろん改札も取り払われている。

 その先では旧ホームや線路の間を抜けてゆくのだが、ちらりと目をやればまだまだ旧駅の雰囲気は充分に。地元の人や、たびたび旅行で松山を訪れていた人ならば懐かしさを感じるところか。

 

 が、すでに取り壊しの工事も始まっているから、遠くない将来に旧駅舎は取り壊されてしまうのだろう。きっと、東口の駅前広場も生まれ変わることになる。そんなとき、果たして子規の句碑はどうなるのかもまた、気になるところである。

 

 ……さて、こうして新旧の松山駅に思いを馳せたところで、せっかくはるばる四国までやってきたのだから、これで終わってはさすがにつまらない。玄関口に背を向けて、松山の中心市街地に向かうことにしよう。