路面電車とともに駅前の目抜き通りを歩く。10分も歩いていると…

 松山駅前の広場の向こうには、路面電車の乗り場がある。松山城を中心に市街地をぐるりと囲むように、またかの名湯・道後温泉までを結んで走っている、伊予鉄道の路面電車だ。夏目漱石が『坊っちゃん』の中で「マッチ箱」と形容した汽車を再現した「坊っちゃん列車」が走っているのも、この路面電車である。

 
 

 つまり、松山駅とそこからいくらか離れた中心市街地は、伊予鉄道の路面電車によって結ばれているというわけだ。

 実際、電車に乗ればものの数分で松山城の天守閣が見下ろす繁華街にたどり着く。が、それでもやっぱりちょっとつまらない。というわけで、松山の町中を歩いて回ることにした。

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 JR松山駅前からまっすぐ東に延びている目抜き通り(ここに路面電車が走っている)を歩くと、10分足らずでどん突きにぶつかる。その先にあるのは松山城のお堀だ。西堀端通りと名付けられた大通りがここでは南北に通っていて、松山市街地を構成する中心的な通りのひとつになっている。

 

 西堀端通りを南に進み、お堀に沿うように左に折れてまた少し東へ。もちろんJR松山駅前からたくさんのビルが建ち並び、ひっきりなしにクルマの走る市街地のど真ん中なのだが、ホンモノの中心というのはもう少し先だ。

 

 お堀に沿って少し歩くと、再び南に折れる大通りと交差する。花園通りと名付けられ、ここでも路面電車が通るメインストリート。まっすぐ南を望んでみれば、堂々たる構えで待ち受けているのが伊予鉄道の松山市駅だ。