預金口座が見つけられないと4万4000円損失の可能性
スマホが開けないために預金口座や金融資産が調べきれない場合の損失も考えたい。
紙の預金通帳が下火になりつつある昨今においても、給与の受け取りやライフラインの支払いなどに使われるメインバンクやサブバンクはデジタル環境を介さずに見つかることが多い。ただ、出入金の少ないそれ以外の預金口座の存在が見えにくくなっているのは確かだ。そこで3つ目以降の口座を見つける糸口がスマホの中にあると仮定する。
何件の口座が隠れているだろう? MyVoiceが2023年4月に実施した銀行の使い分けに関するアンケートによると、銀行口座は3個所有する人がもっとも多いので、1口座が未発見となるケースが多いといえそうだ。
個々の口座に残る残高の平均額は、預金保険機構の「休眠預金等移管金の納付の状況等について」のレポートから推し量れる。国内の預金口座は10年以上手つかずで放置されると、各金融機関からこの機構に移管される。2023年度の総額は1600億円強、口座数は約711万件に及ぶ。1口座あたりの平均残高は2万2000円強となる計算だ。
つまり、1口座×2万2000円=2万2000円が埋もれたままになるかもしれない。
そのほかの金融資産をみると、株式と生命保険はスマホ外で打つ手はある。
株式や投信は、証券保管振替機構(通称ほふり)に開示請求して、故人が運用に使っていた口座の開設先を突き止める方法がある。相続人として依頼する費用は6050円。また、故人が加入していた生命保険の有無は、生命保険協会が提供している「生命保険契約照会制度」に頼ればいい。こちらは1件あたり3000円となる。
合計額は9050円だ。が、それで不確かな財産の有無が確定するのだからありがたい。FXなどの金融派生商品や暗号資産などは企業を横断する照会制度がないため、故人が利用していた取引所の目処がつかないと探しようがないのだ。
それらの財産を故人がスマホだけでやりくりしていた場合、スマホが開けられないと遺族が存在に気づくのは相当困難になってしまう。運用する人が一部に限られるため、一人あたりの損失額は試算はしない(できない)が、遺族としては無視できないものがある。




