フランスパビリオンで『もののけ姫』に出逢う
海外パビリオンでは、フランスパビリオンのアート性の高さが際立つ。「愛の讃歌」をテーマに掲げ、多数のラグジュアリーブランドを抱える企業グループLVMHがメインパートナーとなっている。
会場内で真っ先に見られるのは、パリ・ノートルダム大聖堂のキマイラ石像。異形の怪物が見つめる先には、スタジオジブリ作品『もののけ姫』をモチーフとした巨大タペストリーが掛けられている。意外な組み合わせではあるものの、両者の相性は抜群にいい。細部に至るまでみごとに織り上げられたタペストリーをためつすがめつ眺めていると、時を忘れてしまいそうになる。
その後にはルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールといったブランドの展示が続いていく。目を惹くのは、要所のあちらこちらに近代を代表する彫刻家オーギュスト・ロダンの作品が置かれていること。ロダンといえば《考える人》や《地獄の門》が思い浮かぶが、フランスパビリオン内では、手のみを表現した彫刻ばかりが並ぶ。手の彫刻は何を意味するのか。表立って解説はされていないが、「創造」や「つながり」を象徴しているだろうことは想像がつく。
フランスパビリオンは全パビリオンを見渡しても最大級で、この館内を一巡するだけでも、大規模な展覧会を観るのと同等の満足度ありだ。
チケットの価格、アクセスや利便性、会場全体の構成に運営の練度……。不確定要素はいったん省き、純粋にアートを堪能できるかどうかでいえば、大阪・関西万博は、相当に充実したものが観られる場となっているのはたしかである。
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2025年日本国際博覧会 大阪・関西万博
4月13日~10月13日
夢洲





