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着々と増えている謎の「黒い吉野家」
理由の一つとして、着々と進めている店舗のリニューアルを挙げたい。
吉野家ホールディングスは全国の店舗を対象に「クッキング&コンフォート(C&C)」型店舗への改装を進めている。C&Cの店内はこれまでの吉野家と大きく異なる。
従来カウンターが多かった店内はテーブルが中心となり、広々したスペースには植栽も施している。店内にはドリンクバーもあり、通常の吉野家と違い黒い看板を掲げることから、ちまたでは「黒い吉野家」として時たま話題を呼んでいる。
同社はC&Cについて「お客様がゆっくり食事を楽しみ、くつろいで過ごせるように開放感のあるゆったりした客席としています」と説明している。忙しい合間にサクッと利用するという吉野家の姿はなく、「ゆっくり食べる」場所になろうという意図が感じられる。
近年注力している「から揚げ」メニューにも注目したい。吉野家ではから揚げを牛丼に次ぐ「第2の柱」と位置付け、「から揚げ丼」や「から揚げ定食」といった商品を充実させている。吉野家でから揚げ系メニューを頼んだことのある読者なら経験があるかもしれないが、これらは提供に5分以上かかる場合がある。作り置き的な面もある牛丼と違い、オーダーを受けてから揚げるからだ。
ここから分かるのは、吉野家が明確に「はやい」よりも「うまい」を重視している、ということだ。
