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「薄利多売」から「厚利少売」への転換が進んでいる
こうした背景には、先ほども述べたような食材のインフレや人件費の増加に伴って、これまで牛丼を含むファストフード各社が行ってきた「薄利多売」モデルが転換期を迎えている点を指摘できるだろう。
吉野家が進めているのは「厚利少売」、つまり高くても満足できる付加価値を提供し、客単価を上げていくモデルだ。吉野家ホールディングスの2025年2月期決算では、吉野家単体の既存店売上高は前年同期比で107.4%。既存店客数は100.7%と微増に対し、客単価が106.8%でけん引した。
まさに厚利少売モデルへの転換が進行中で、開店当初からのキャッチコピーとしてあった「はやい」および、デフレ下でプッシュしてきた「やすい」が少しずつ背後に退いている。
だが、ここでまた別の課題が見えてくる。厚利少売モデルと牛丼は相性が悪いのだ。
「1人で安くパッと食べる」というイメージがいまだに強い牛丼は、いくら付加価値を高めても、なかなか高価格だと受け入れられにくい。実際、吉野家ホールディングスの2025年2月期決算では、吉野家は前年比で3.0%の減益となった。C&C業態などの拡大路線がうまく進んでいるとはいいづらい。