「日本人メンバーがK-POPのレベルを下げているのではないか」
だが、この投稿も韓国のネットユーザーたちからは受け入れられず、「『頑張りました』で終えてしまえば、それはプロではない」「頑張ったし、本気だったって? 誰もそれを否定していない。だが、あまりにも歌がヘタだった」などの攻撃的なコメントが相次いだ。『世界日報』のネット版は、LE SSERAFIMのサクラやカズハだけでなく、他の日本人メンバーを擁するグループを挙げながら、「日本人メンバーがK-POPのレベルを下げているのではないかという不満の声まで出ている状況だ」と述べた。
K-POPのステージは歌唱力だけではなく、パフォーマンスの完成度や観客の反応なども含まれて評価される「総合芸術ジャンル」である。そのため、歌唱力だけで彼女たちの実力を下げることに対して「見当違いだ」と反論する音楽専門家もいた。
ただし、大多数の韓国人は「歌手は何よりも歌が上手でなければならない」という信念が強い。コーチェラを契機に始まったLE SSERAFIMの歌唱力に関する論争はまたたくまに広がり、グループへのマイナスイメージとして浸透した。
HYBE事務所内での抗争にも巻き込まれ……
この論争とちょうど同じころ、LE SSERAFIM の所属事務所である「HYBE」はもう1つ大きな争いを抱えていた。NewJeans(現NJZ)を手掛けたプロデューサー、ミン・ヒジン氏との、HYBE傘下のレーベル「ADOR」の経営権を巡る対立だ。
この対立において、ミン氏が「LE SSERAFIM vs. NewJeans」という構造を作り出したのは意図的なものだっただろう。ミン氏は「『HYBEの初のガールズグループ』という売り出し文句はもともとNewJeansのものだったのに、LE SSERAFIMが奪った」「HYBEはLE SSERAFIMとNewJeans を露骨に差別した」などと主張。事件と直接の関係がないLE SSERAFIMにまで、莫大なダメージを与えた。
さらに、2024年5月には突然の「親日論議」が起こった。2023年5月に発売されたLE SSERAFIMのアルバム『UNFORGIVEN』に収録された「Burn the Bridge」のMVが、「極めて“右翼的な”内容を含んでいる」という言説がインターネットで広がったのだ。それは、「MVの随所で日の丸を象徴するイメージが演出されており、『独島(※日本名は竹島)は日本の領土』というメッセージが投入されている」という全く根拠に乏しい意見だった。


