朝日新聞デジタル(4月15日 18時40分)は、こう報じている。

「CD販売について、性暴力被害に詳しい伊藤和子弁護士は『リベンジポルノに該当し、違法となる可能性がある』と指摘する。(中略)

伊藤氏は『本人の許諾なく死後に発売されれば、それは、死者の尊厳を踏みにじることになる。遺族による告訴があれば、刑事事件になる可能性は十分にある』と話す」

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元フライデー編集長が振り返る“昭和の騒動”

大手のタワーレコードや楽天ブックス、アマゾンはこのCDの注文を中止しているようだ。

私は、八代亜紀というと映画『駅 STATION』(1981年)のあの場面が蘇る。自分が逮捕した人間が死刑を前に、これまでの温情を感謝する手紙をよこした。その墓参りのために北海道の小さな町に来た高倉健が、雪に埋もれた小さな酒場にふらっと入る。倍賞千恵子が一人でやっている店で、小さなテレビからは八代亜紀の『舟唄』が流れている。

倍賞と健さんは、それを聞きながら静かに酒を飲む。こんな居酒屋があったら、なけなしのカネをはたいても呑みに行きたい。長年そう思っているが、実現はしていない。

八代亜紀のヌード写真騒動で思い出したことがある。私がフライデーや週刊現代の編集長時代には、リベンジポルノという言葉はなかったが、今だったら出せなかったかもしれない一冊の写真集のことだ。

私がフライデー編集長の1992年のことだった。当時“魔性の女”といわれていた女優、荻野目慶子の写真集である。

荻野目は14歳で市原悦子と共演した舞台「奇跡の人」でデビューして、“天才少女”と絶賛され、映画『南極物語』(1983年)で国民的人気を得た。

だが、映画監督のKと不倫関係になって、それをKの妻の知るところとなり、泥沼の三角関係に陥っていた。

悩んだ末に荻野目がKに別れを告げた直後、Kは荻野目の自宅マンションで首つり自殺をしてしまったのだ。第一発見者は荻野目だった。1990年4月のことだった。