「飛行機より高い」のに人気を博した北斗星・トワイライトエクスプレス

 北斗星の個室は、A寝台個室「ロイヤル」、A寝台2人用個室「ツインデラックス」、B寝台個室「ソロ」、B寝台「デュエット」を用意した。在来型の2段ベッド開放型寝台もあり、向かい合わせの4ベッドを4人で使う場合は個室になる「Bコンパート」もあった。

寝台特急「北斗星」(24系客車)(筆者撮影)

 ちなみに同年(1988年)、大阪~函館間には寝台特急「日本海」が1往復、設定された。1947年から運行していた大阪と青森を結ぶ日本海の2往復のうち、1往復を函館へ延長した形だ。在来型の2段ベッド開放型寝台のみで北斗星より見劣りしたが、翌年にJR西日本は大阪~札幌間で新たな寝台特急「トワイライトエクスプレス」の運行を開始している。

寝台特急「トワイライトエクスプレス」(24系客車)(筆者撮影)

 寝台列車は乗車券、特急券のほかに寝台券が必要だ。2014年時点で、ロイヤルは1万7670円(1名)、ツインデラックスは2万7460円(1名/2名同額)、スイートは5万2440円(1名/2名同額)。デュエットは1万2960円、B寝台ソロと開放寝台は6480円(1名)だった。最も安い開放B寝台でも、上野~札幌間の総額は2万7980円である。

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 飛行機よりも時間がかかり、早期割引航空運賃より高い料金。それでもわざわざ乗りたくなる列車――それが北斗星とトワイライトエクスプレスだ。しかし、どちらの客車も1970年代後半の「ブルートレインブーム」に作られた車両を改造したもの。トワイライトエクスプレスが登場した時点で、製造から20年以上が経過していた。

 それでも両車両とも、いわば“リフォーム”できれいにしていたから人気が落ちることはなかった。しかし新たな寝台車を望む声も多かった。こうした時代背景の中で、1999年1月、JR東日本は新たな「豪華寝台列車」を発表した。それが寝台特急・カシオペアだ。オール個室の寝台を利用したワンランク上の旅の提案だった。