「まだ引退には早い」のになぜ、走るのをやめてしまうのか
2016年に寝台特急カシオペアが廃止となったとき、E26系は製造からまだ17年しか経っていなかった。廃止するなんてもったいない、まだまだ使える――そこで生み出されたのが、団体ツアー列車「カシオペア紀行」である。もともと寝台特急カシオペアの運休日に「カシオペアクルーズ」という団体ツアー列車を運行しており、これを継続した企画だ。東北・信州方面や、成田山に参詣後、東海道線根府川駅で初日の出を観るなどの企画として運行した。
そして、製造から26年となる今年の運行で終了することが発表となった。それでもまだ引退には早いけれど、すべての客室にトイレを備えたため、水回りの傷みが進行しているという。湿度の高い青函トンネルの走行も寿命を縮めたかもしれない。むしろ、北海道新幹線開通によって寝台特急カシオペアを廃止する前提で、短命を承知の上で全室トイレ付きという思い切った仕様を採用できたとも推察できる。
寝台特急カシオペアの引退後、JR東日本は2017年から新たなクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」を運行している。「E001形」という自走式車両で、青函トンネルも走行可能だ。E26系の客車が引退しても、豪華夜行列車のコンセプトは引き継がれるわけだ。引退の後も、寝台特急カシオペアと銀色のE26系客車は、青函トンネルを駆け抜ける豪華列車の先駆けとして語り継がれるだろう。
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