それがコロナ明けで一気に崩れ、コメ農家に負担を押しつける形になっている。しかし、農家は個人事業主が多い。自らリスクを負って田んぼを耕している人たちに、コメが足りないからもっと生産しろ、もうコメはいらないから離農しろというのは酷な話だと私は思う。

どちらかといえば農家は立場が弱く、保護すべき対象だ。にもかかわらず農家だけに無理難題をすべて押しつける形になっており、チグハグな図式になっていると言わざるを得ない。そうした問題を見て見ぬ振りをし続けてきたのだから、今回のような騒動が起きるのも当然の結果だ。

今後はトランプ関税もやってくる。日本人はそろそろ、ぬるま湯に浸かっている場合ではないと自覚するべき時期にきたのではないだろうか。

加谷 珪一(かや・けいいち)
経済評論家
1969年宮城県生まれ。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村証券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。その後独立。中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。
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