本当にここが道で合っているのか…
安全策をとって高まきに迂回することにしたが、急斜面なので非常に不安定だ。
滑り落ちると同じ結果になってしまうため、一歩一歩慎重に進んだ。
本当にここが道で合っているのかと不安になってきた頃、目の前に階段が現れた。
先に見たのと同じ、単管で組まれた階段だ。歩いてきた道が間違いじゃないことが確認できたので、安堵した。
一難去ってまた一難、階段を過ぎたところで、道が再び崩落している。
なんとか崩落個所を越えることができたのだが、その先で道が完全に消滅してしまっていた。
崩れたとかそんな状況ではなく、道がないのだ。一枚の大きな岩場になっていて、角度は直角に近い。足をかけるような出っ張りも、手をかけるような立ち木もない。まさに、取り付く島もない状況だった。
探索開始から2時間以上が経っていたが、これ以上進むのは不可能と判断した。打開策を見つけようと周囲を見渡すと、山のはるか上方に平らな道のようなものが見えた。これは、大きく高まきに迂回できるかもしれない。斜面が比較的緩やかな場所を選び、直登することにした。立ち木に掴まらなければ滑り落ちてしまう急斜面と格闘し、なんとか登りきることができた。
突然の舗装路
ヘトヘトになりながらたどり着いたのは、なんと舗装路だった。
川に並行して林道があったのだ。車一台通るのがやっとという頼りない林道なのだが、この時ばかりはとても立派な道路に見えた。
スマホの地図アプリで現在地と乙姫滝の位置関係を確かめながら、上流方向に歩く。このあたりが乙姫滝だろうという地点に差しかかったが、川との高低差が50メートルほどあり、木々に遮られて滝の姿は全く見えない。はるか下のほうから、滝の音だけが聞こえてくる。
斜面は急で、とても下りられる角度ではなかった。突破口を探そうと、周辺を何度も往復したが、やはりどこからも下りられそうにない。とはいえ、こんなこともあろうかと、同行者にロープを持ってきてもらっていた。ロープを使う前提であれば、何箇所か下りられそうな箇所もある。しかし、持っているロープは30メートル。この長さでは、とても川まで届かない。しかも、最も緩やかで下りられそうな箇所は、位置的に滝よりも上流側に行ってしまっている。
とはいえ、朝から探索を続けて一度も滝の姿を見ていないため、一目でも滝を見ようと、私が代表して下りてみることにした。ロープを木に結びつけ、急斜面を慎重に下る。ロープの先端ギリギリのところまで降下し、ようやく滝の一部が見えた。






