いざ出発!
所有者の許可を取るなどの準備を整え、普段から険しい道を探索している仲間も集め、総勢3名で現地に向かった。事前に地図や航空写真を見て調べたところ、滝まで行く道は、ない。車道から近いところで川に下り、川沿いを上流に向かって歩けば滝に着くのではないかと考えていた。
車を置いて早速歩き始め、川に下りる。道らしい道はないが、数百メートルほど斜面を歩くと、ほどなく川面に近づいた。
すると、意外なことに人工的な建物が現れた。同じ形をした小屋が、いくつか建っている。
全体的に廃れており、使われている様子はない。なかには倒壊してしまっている小屋もある。
小屋の中を覗き込むと、年代物の冷蔵庫や炊飯器が転がっていた。どうやら、かつてのバンガローのようだ。
ここから乙姫滝を目指して川沿いを歩いて行きたいところだが、道らしい道がない。幸い、川に沿って涸れた水路があったため、この水路を歩くことにした。
しばらく歩くと、水路の先に取水口があり、そこで終点となってしまったが、この付近に斜面を登る階段が設置されていた。
単管で組まれた階段は、建築足場のような仮設感があるが、人為的に設置されたものであることは明らかだ。周辺の状況から推測すると、かつてはバンガロー周辺から乙姫滝に向かう遊歩道があったようだ。我々が歩いてきた水路は、当時から遊歩道の一部だったのだろうか。
階段は落石等で大きく歪んでいたが、なんとか登ることができた。そのまま登り切ったものの、左右を見渡しても道がない。しかし、川に沿って遊歩道が伸びていたはずだ。そう確信した私は、藪をかき分けて上流側に向かう。
しばし藪と格闘すると、確かに人ひとりが何とか歩けるだけの道らしきものがあった。やはり読みは当たっていたようだ。
安心したのも束の間、川沿いの獣道は半分崩れかけており、一歩間違えれば川に転落してしまう。川面までの高さは5メートルほどなので致命傷にはならないだろうが、ここで負傷してずぶ濡れになってしまったら、脱出するのが非常に困難だ。











