「コーディネーター制」における4軍監督の役割とは
背番号も「011」に変わった。かつてのエースが、3桁の背番号を背負う。
4軍制の発足に合わせて、ソフトバンクに「コーディネーター制」が導入され、斉藤の4軍監督就任となる4軍制2年目は、その人員が2人から4人に拡充された。データ分析、筋力トレーニングやコンディショニング、故障者のリハビリなど、ありとあらゆる担当部門が細分化された。練習プログラムにも年々、最新鋭の機器が導入され、その内容が日進月歩でアップデートされていく。
目まぐるしいまでのスピード感の中で、普段の練習内容や試合での選手起用などの方針も、斉藤が率いる4軍の現場では、コーディネーターと綿密にすり合わせ、若き育成選手たちの育成に向き合っていく必要がある。
「監督」になったからといって、4軍の育成方針を自らが立て、その“監督方針”をコーチや選手たちに下ろすといった、監督主導でのトップダウンの組織形態でもない。
野球の現場が、明らかに変わろうとしている。
「どこの世界でも、社会でも、自分の思い通りにはいかないということが普通なので、そこでどうするか、どう考えるかというのが大事だと思うんです。何をするにしても、球団の方向性を理解する。ただ、それで自分がなくなってしまっては意味がない。球団が考えてくれたポストなので、そこには自分の考えも入れていかないといけない。自分が感じたことは、コーディネーターなどに、ちゃんと話すようにしています。
すべてが自分で動かせるものではないことも理解しながら、コーディネーターの人たちの意見を聞いて、こういう方向で行きたいんやな、ということも理解する。そのためにどうしたらいいのか、今度はこっちが考える。やりながら、この方が良くないか、こう思うけどどう、と話をする。
フロントの方がどう考えているか、本質は見えない部分があるかもしれないですけど、最終的に現場でいろんなことを作っていかないといけない。だから、ちゃんとコミュニケーションを取らせてもらいながら、何がいいのかトライしていく。最初から完璧はないし、自分の考えだけでいくとエラーばかり出てしまう。ちゃんと共有しながら進んでいけば、少ないエラーで済むのではないか、と思っています」
