1万円超の「涼しいウールTシャツ」
(1)「夏こそウール」を提唱する「アイスブレーカー」 1万3750円
意外と知られていないが、ウール100%は「涼しい」のである。
中でもメリノ種の羊から採れるメリノウールは別格だ。
汗をかくまえから体が発する水蒸気を吸収・発散させ、かいた汗は毛細管現象で吸い上げて気化させるので、ドライタッチが持続する。
寒い時は、肌の水分を吸収する際に発生する吸着熱と体温が、極細繊維の作り出す無数のエアポケットにため込まれるため、暖かい。一方、暑い時は汗の蒸発による気化冷却によって衣服内温度が適度に調整されるため、涼しいのである。
加えて天然の防臭効果によってニオイも発生しにくいため、メリノウールのインナーは長期間同じ服を着続ける登山者たちに重宝されてきた。
ニュージーランド発の「アイスブレーカー」は、そんなメリノウールTシャツの魅力を世に広めたブランドだ。
Tシャツの売れ筋は、2019年から販売している定番の「150 ショートスリーブ ポケット ティー」。
アイスブレーカーのメリノウールの糸の太さは17~19ミクロン(1ミクロン=0.001mm)ほど。そんなスーパーミクロファイバーの糸で編まれたジャージー素材は、通常のウール生地のようなチクチク感がなく、肌に吸い付くようななめらかな肌触りを生み出す。
加えて豊かな光沢やなめらかなドレープ(布が生み出すゆるやかなヒダやたるみ)が、上質ニットのような大人っぽい雰囲気を演出してくれるのだ。
アイスブレーカーが使用するのは、ニュージーランド・サザンアルプス産の特別なメリノウール。
中でも羊毛原料における動物福祉と土地管理の責任ある実践を認証する国際基準・RWS(レスポンシブル ウール スタンダード)認証をクリアしたものを使用する。1万円を超える価格の理由は素材の質にある。
「ウールは、冬は暖かく、夏は涼しい」という真実を、筆者はこのTシャツで知った。
冬はインナーとしても活躍するが、ぜひ夏に素肌に一枚で着て、メリノウールの実力を感じてほしい。





