あざといは漢字でどう書くかご存じ?
植草 たしかに、「あざとい」って、計算高くて、ずる賢いという意味で使われがちよね。ねぇ、「あざとい」って漢字でどう書くかご存じ?
真衣 漢字……ひらがなのイメージしかなかったです。
植草 こう書くんです。
植草は目の前のメモ用紙にスラスラッと「小聡明い」と書いてみせた。
真衣 へー、これで「あざとい」って読むんですか。
植草 聡明っていうのは頭がいいってこと。そこに小をつけて、いくらか小バカにしたニュアンスで頭がいい、と言っているわけ。私はこの漢字の聡明っていう部分が「あざとい」のポイントだと思うんです。
真衣 たしかに、「あざと女子」って小利口で、自分の得になることに関しては抜け目ないっていうか、貪欲っていうか……。
植草 真衣さんは欲しいものを手に入れたり、人生で得したり、したくないんですか? 欲しいものをつかみとることって、そんなに人からとやかく言われるような悪いことかしら?
真衣 それは……別に悪いことではないですけど。
要するに「あざと女子」に嫉妬しているんです
植草 そうですよね。自分の人生で欲しいものが定まっていて、それを最短かつ最小の労力で手に入れようとする。それって決して簡単なことじゃないし、文字どおり聡明じゃないと、できないことだと思いませんか?
真衣 たしかに、賢いなって思いますよ。私みたいな不器用で損ばっかりしてる人間と違って、要領よくて、頭もいいと思います。でも、自分さえよければいいって感じもして……男性にニコニコ、ヘラヘラしてるのだって、なんか痛々しいし……。
植草 そういう、「あざと女子」が結局、自分が欲しいものをすべて手に入れてるからムカつくと。要するに真衣さんは嫉妬しているんですね、「あざと女子」に。
真衣 嫉妬? たしかに、嫉妬かもしれません。でも、それだけじゃないですよ。なんというか、やり方がイヤラシイと思って。
植草 やり方ね。じゃあ真衣さんは、「あざと女子」が欲しいものを手に入れるための「やり方」をすべて知っていますか?
真衣 それはわかりませんけど……でも、私の友だちで、すごい「あざと女子」がいるんですけど、その子を見てると、なんとなくわかります。必要以上に男性を喜ばせることを言うんです。「かっこいい!」とか、「その服、似合うね!」とか。そんなほめる必要ある? って、いつも思って見てます。
欲しいものが手に入り、人生が楽になる
植草 それも立派な努力、と言えないかしら? だって、同じことがあなたにできる?
真衣 うっ……それはできないかもしれない、ですけど……。
植草 真衣さんは漢字の「小聡明い」のように、どこかで、「あざと女子」を小バカにしているようだけど、「あざと女子」っていうのはね、相手の気持ちを考えて行動できる人のことを言うの。相手が喜ぶこと、相手が欲しい言葉、相手の求める行動……その結果として、自分が欲しいものは手に入るし、人生が楽になる。いいとこどりをしているように見えるけれど、本当はその手前でたくさんのものを相手にGIVEしているのです。
真衣 そうでしょうか? そんなふうに思ったことないですけど。
真衣は優のことを思い出す。優に何かしてもらったことなんてあっただろうか。
何より、「あざと女子」が自分より努力したり、気を使ったりして生きているなんて認めたくなかった。