上越新幹線「とき」に乗って、新潟県を目指す。東京駅を出てから群馬・新潟の県境を跨ぐまでは意外と早くて1時間ちょっと。いわゆる「国境のトンネルを抜けると~」の上越国境だ。

 ただ、冬場なら窓の外は雪国なのだろうが、いまは梅雨から夏へと移り変わる季節。新潟県内に入っても、それほど景色が変わるわけではない。それでも関東平野では篠突く雨がすっかり止んで、晴れ間ものぞく。太平洋と日本海側を隔てる大分水嶺を跨ぐ上越新幹線の車窓は、なかなかダイナミックだ。

 新潟県に入って最初の駅は、スキー場や温泉で知られる越後湯沢駅。そしてその次に停まるのが、浦佐という小さな駅だ。

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 東に越後山脈、西に魚沼丘陵に挟まれた魚沼盆地のど真ん中。すぐ東側には信濃川の支流・魚野川が流れている。「魚沼コシヒカリ」のブランドで名高い田んぼの中に、浦佐駅はある。

“田んぼの中のポツンと新幹線駅”「浦佐」には何がある?

“田んぼの中のポツンと新幹線駅”「浦佐」には何がある?

 上越新幹線浦佐駅の高架の下には、在来線の上越線ホームが設けられている。つまりこの駅は、在来線と新幹線の乗り継ぎの駅というわけだ。改札を抜けた先のコンコースにはコンビニと観光案内所。それ以外にはいくらか不気味に感じられるほどに無機質なだだ広い空間があるだけだ。

魚沼盆地のど真ん中にある浦佐駅。こんなところにどうして新幹線駅が作られたのか?

 新幹線が着いた直後の多少の乗り降りが終われば駅の中に人の気配はほとんど感じられない。なんでも、新幹線浦佐駅の1日平均の乗車人員は700人弱。これは上越新幹線の駅では最も少ないのだという。

 いくら在来の上越線との乗り換え駅とはいえ、いったいどうしてこんな小さな新幹線駅があるのだろう。

 そんな疑問が去来しながら駅の外に出ると、ますますこの新幹線駅への疑問を加速させるものが駅前にあった。