上野 AIは使ってはいますけど、序盤の研究からガチガチに使っているかというとそうでもないですね。指した将棋の振り返りに使うくらいです。その時に、人間目線だとぱっと見は無理と思う手が最善と示されると、そういうものかと認識が変わります。
研究会とプロ野球観戦…オンとオフの切り替え
――研究というと、上野さんは棋士との研究会はどのくらいの頻度で行っていますか。関東では永瀬拓矢九段が「すべての若手棋士とやっている」「公式戦以外はすべて研究会に時間を充てている」などのうわさが立つくらいには有名ですが。
上野 対人の研究会は、1ヵ月に15日くらいでしょうか。私が特によくやっているのはVS方式だと稲葉先生とで、研究会は菅井先生(竜也八段)、斎藤先生(慎太郎八段)、服部先生(慎一郎七段)、藤本君というメンバーが多く、他にもいろいろな方から教わっています。
永瀬先生とはネットで指していますし、研究会に呼んでいただいたこともあります。まだ1回も勝てていません。関西では棋士室に集まって研究会を行うことが多いのですが、永瀬先生ほどやっている棋士はいませんね。よく見かけるのは服部先生、藤本君でしょうか。女流棋士だと石本さん(さくら女流二段)や佐々木さん(海法女流初段)の姿もよく見かけます。
また私はたまに関東の奨励会三段と指すこともあり、そこからの縁で関東の棋士とつながります。研究会の頻度は、自分は棋士の中では多いほうだと思います。人と指すことで得られるものは多いですし、そこで指した将棋をAIにかけて新たな研究が深まります。
――ひと月の半分が研究会となるとかなり多そうですが、オフの日などはどのように過ごされているのでしょうか。上野さんは四段昇段の時に阪神タイガースファンということを明かされていましたが。
上野 研究会がある日は朝から夕方までがそれで、その後に対局の振り返りを済ませたら、オフにしてプロ野球の結果を見たりはします。今年は1度、甲子園に見に行きました。今は佐藤輝明選手が推しです。小さいころに父とキャッチボールをしたりなど、もとから単純に野球が好きだというのもありますね。他には読書と音楽鑑賞でしょうか。東野圭吾さんのミステリーを読んだり、ヒゲダン(Official髭男dism)の曲を聞いたりしています。
竜王ランキング戦で起きたハプニングは…
――ちょっとお聞きしにくいことをうかがいますが、今期の竜王ランキング戦6組準決勝の対谷合廣紀四段戦(現五段)で、上野さんが相手の桂馬の利きに角を打って、打った瞬間に取られて投了というハプニングがありました。



