2025年3月、順位戦C級2組の最終局で勝利して、C級1組への昇級と五段昇段を果たした上野裕寿五段(22)。プロデビュー直後には若手棋士の登竜門である新人王戦を制覇、さらに翌年には地元・加古川市にて行われた加古川青流戦で優勝を果たしている。
次世代の旗手はいま、どのように将棋と向き合っているのだろうか。
ターニングポイントとなった八代弥七段との対戦
――そして今年の3月、順位戦C級2組を9勝1敗の好成績で終え、1期でC級1組へ昇級されました。
上野 順位戦は1年を通しての戦いなので、その間に大きく調子を崩すことがなかったのはよかったと思います。6時間という順位戦独特の長い持ち時間をどう使うか、最初はわかっていませんでした。
――順位戦の初戦は佐藤慎一六段との対局でしたが、この一戦は上野さんの敗北に終わっています。
上野 1回戦は内容も良くなく、時間も使うべきところで使えていませんでした。順位戦ならではの難しさを感じた一局でしたね。
――ターニングポイントの一戦を挙げるとすると、どこでしょうか。
上野 5回戦でしょうか。八代先生(弥八段)との対戦ですが、ここまで4勝0敗の八代先生と3勝1敗の私という構図で、ここで負けると昇級の目がなくなると思っていました。この一戦を勝つことができて、前期の順位戦C級2組が混戦になった印象です。自分の上り目も出てきましたね。対八代戦は加古川で優勝した直後の対局ですが、序盤から1手1手難しいジリジリした将棋でした。強敵を相手に形勢をそこまで損ねることなく、うまく指せて勝ったのは自信になりました。それでも昇級が自力になったのはだいぶあとなので、伸び伸びと指せました。
スピーディーで面白いフィッシャールール
――自力の権利を得てからはどのようなお気持ちだったのでしょうか。
上野 9回戦の開始直前に自力になって、この将棋は内容的に堅くなっていた部分もあったと思います。最終戦でも緊張は解けておらず、形勢を損ねました。残り時間でも追い込まれていて厳しい状況でしたけど、昇級と昇段の同時チャンスを逃すのはもったいないなと、粘り強く指せたのがよかったです。
――もう一つ昨年のことをお聞きしますと、フィッシャールールの超早指しで知られるABEMAトーナメントで、チーム稲葉(稲葉陽八段、藤本六段、上野五段)の一員として、優勝されました。ABEMAトーナメントは今年も放映が始まっています。



