小児なので強い痛み止めも使えず、心拍数は130に
――手術したことで思わぬ変化もありましたか?
星来 術後、ご飯が好きなだけ食べられるようになったんです。それまではすぐにお腹いっぱいになってたんですけど、それは背骨が曲がっていたせいで臓器が圧迫されて食べられなかったんだと、はじめて気づきました。
術前は、「背骨がまっすぐになるんだ~」くらいの軽い気持ちでいたんですけど、いざ受けたら手術は9時間で、入院は3週間。
子どもなので回復も早いんですけど、それでも5日間は寝返りも打てず、痛みでろくに寝られないし、水も飲めない。小児なので強い痛み止めも使えず、横になっているだけなのに心拍数は130になっていて。「痛みって数字に現れるんだ」と思いました。
――大手術を終えた後、気をつけることも増えたそうですね。
星来 転倒すると胴部分に入れた金属が折れる可能性があるということで、50メートル走やシャトルランは控えていました。背骨に沿って金属が入っているから身体も曲がらなくなって、上体起こしや座ったままの前屈もできなくなりました。
金属は、身長の伸びが止まったら抜いてもいいと言われているので抜きたいなと思う反面、神経に触れると四肢が麻痺してしまうリスクもあるので、そのままでいいかなと、今は思っています。
股関節の軟骨がすり減りはじめていて…
――今、大学3年生になられたということですが、継続している治療はありますか。
星来 遺伝子検査で網膜剥離になる可能性が高いと言われたので定期的に検査してるのと、あともう一つは股関節の問題で。
2型コラーゲンは軟骨にも大きく影響しているので、すでに股関節の軟骨がすり減りはじめてるんですね。人工関節に変えるのもありなんですけど、20年に1回程度金属を入れ替えないといけないらしいので、人工関節にするタイミングを少しでも遅らせられるように、階段の上り下りをできるだけ控えたりして注意をしています。
――軟骨がすり減るような行動はなるべくしないようにされていると。
星来 そうですね。階段とか重いものを持たないように気をつけていて。なので、移動の際にはキャリーケースを使うようにしています。
あと、走ることはできるんですけど、転倒するのが怖いのであんまり走らないようにしていますね。
でも、背が低いという見た目だけでは、私がどんなリスクを背負っているか、周りの人にはわからないんですよね。
写真=三宅史郎/文藝春秋
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