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「治療のやめどきを決めることは、周囲が想像する以上に難しい。出産や育児のない、夫婦二人で歩む想定外の人生について、考えることすらできないこともあります」。
中辻さんは6度目の体外受精でようやく妊娠できたが、流産した。深い悲しみの中、ショックでしばらく外に出られなかったという。
治療の最中は生活すべてが「治療のため」という思考回路になりがちだが、中辻さんは「自分が楽しいと思えることを手放さないで続けてほしい」と呼びかける。
「治療を終えてからも40代半ばなら、その先の人生はすごく長いのです」。不妊治療では40代を超えるととかく「高齢」を自覚させられてしまう場面が多いが、実社会ではまだまだ現役だ。
「治療でとても気になっていた年齢も、不妊治療というフィルターを外したら働き盛りの世代。いま自分が大切にしていることをやり続け、ブランクの期間を作らないようにすると、今後のいきいきとした人生につながるのではないでしょうか」
自分が本当に楽しいと思えれば、ストレス解消になり、充実感も味わえる。好きなヨガが仕事にもつながった、前述の渡邉さんのケースはまさにこれに当てはまりそうだ。人生はこの先も続いていく。
遠藤 富美子(えんどう・ふみこ)
読売新聞記者
1995年、読売新聞社に入社し、北海道支社、国際部、マニラ支局、金沢支局、生活部などを経て英字新聞部長兼THE JAPAN NEWS編集長。不妊体験者を支援するNPO法人「Fine」認定の不妊ピア・カウンセラーの資格を持つ。
読売新聞記者
1995年、読売新聞社に入社し、北海道支社、国際部、マニラ支局、金沢支局、生活部などを経て英字新聞部長兼THE JAPAN NEWS編集長。不妊体験者を支援するNPO法人「Fine」認定の不妊ピア・カウンセラーの資格を持つ。
