鳥居とは神域と俗世を区切る結界。神様の宿る神聖な場所の入口であることは言わずもがなである。ところが、そんな大切な鳥居に片足しかないものがあるという。
“片足鳥居”とは、いったいどんな鳥居なのだろう。そもそもちゃんとくぐれるのか。
なぜか片足しかない鳥居
そんなわけで、やってきたのは長崎。長崎市坂本の「山王神社」に件の鳥居があるという。
坂本は西に長崎市街地を貫く浦上川が流れ、東に金比羅山を頂く。町の北部には長崎大学医学部が属する坂本キャンパスがあり、学生も多く住んでいるようだ。
車通りの多い山王通りから細い路地に入ると、石段上に立つその奇妙な姿がすぐさま目に入った。
アパートに挟まれて佇む、白っぽい一本の石柱。目を細めてみると、「奉納」と刻まれている。
その上部に笠石がのっかり、バランスよく立つ。間違いなく鳥居だ。
次から次へとやってくる参拝客がこの片足鳥居を仰ぎ見て、柱に触れてゆく。でも、やっぱりくぐれない。
なぜ片足なのだろう。いや、そうではない。なぜこの鳥居には左半分がないのだろうか。


