台湾野球を語るうえで欠かせないチアガールたち。表舞台の華やかさの裏に隠された、いま彼女たちが直面する現実とは? 中華圏の事情に詳しい筆者が、日本ではあまり知られていない台湾チア業界の実情に迫る。(全2回の1本目/続きを読む)
◆◆◆
日本と台湾の関係のなかでも特に近しい分野のひとつが、野球だ。むかしの郭泰源(元西武)や大豊泰昭(元中日ほか)から現代の古林睿煬(日ハム)まで台湾出身のNPB選手は多く、またNPBの元選手が、台湾プロ野球の監督やコーチとして活躍する例もめずらしくない。ゆえに日台のプロ野球は、本来はノリもけっこう似ている。
ところが近年、台湾プロ野球の球場の光景が様変わりした。理由はチアガールだ。各球団がかわいい女の子を揃え、応援団の主役が彼女らに転換。球場ではチア専用のお立ち台が内野シートに設けられ、場内放送や場内大型ディスプレイでもガンガンアピールされている。
現在、台湾プロ野球の一軍登録選手は150~174人程度だが、事情を知る現地の人によればチアガールの総数は200人前後にのぼるという。もはや選手よりも多い可能性が高い。いまや日本人や韓国人のチアも加わっているほか、台湾のプロバレーボールやプロバスケットボールにも同様の文化が拡大している。
アイドル的な要素も目立つ
事実、球場ではチアガール個人の応援タオルやTシャツが売られており、なかには楽天モンキーズ本拠地の楽天桃園国際野球場のように、チアガールグッズ中心のショップと選手グッズ中心のショップが別々に備えられているスタジアムすらある。チームによってその比重は違えど、球場に来ている観客は「チア目的半分、野球目的半分」だという当事者の声もあるほどだ。
なので、台湾チアは日本でも一部で熱心なファンを獲得している。だが、アイドル的な消費のされかたが目立つのも事実だ。
そもそも、彼女らはどういう人たちなのか。現在のようなチアはいつから存在して、個々の女性のマネタイズはどうなっているのか。そのあたりについては謎が多い。そこで筆者は台湾に飛び、現役チアガール3人と関係者への取材をもとに実態を探ってみた。






