チアガールたちの「踊る以外の仕事」とは
前回記事で言及した台湾チアガールと日本のAKBの類似性については、Kaiiさんは「あまり似ていない」という意見だ。
「わたしたち、ユニットでなにかをすることはあまりないんです。集合練習も週1回だけ。そのとき新しい振り付けを教わって、あとは基本的に自主練習なんですよ。でも、翌週には振り付けを覚えているかチェックがある。なので、普段は動画を見て各自で練習しないと、すぐに遅れてしまいます」
集団練習が多いのは練習生のほうだ。ファンが練習生の段階から推しを育てる雰囲気も、前回のPennyさんのように、ほぼ新人の状態で業界に入った人のほうが感じやすい。
対してKaiiさんの場合、地下アイドルやアニソンライブで舞台慣れしていたので、練習生を経ずにいきなり正式メンバーになった。正式メンバーは、ダンス練習も個別でおこなうのがメインなので、元地下アイドルの彼女としては、AKBっぽさを感じづらいのだろう。
なにより、チアガールの個別活動は練習だけではなく、収入面もそうだ。彼女らは個人事業主なのである。
「チアだけだと、収入は安定しにくいと思います。試合の出演料抜きだと月に1万台湾元に満たないくらい。あと、チームのメンバーは30人近くいますが、上の人の判断でお給料や出演料が決められるはずなので、けっこう差があるはずです。他のイベントにどれだけ呼ばれるかがキモになりますよね」
人によっては、最大の収入源になるのがライブ配信だ。なかには1ヶ月で80万元(約370万円)稼ぐチアガールもいる。
「でも、わたしは配信あんまり好きじゃないんです。泣き落とししたりして、テクニカルに課金を煽るとか、イヤじゃないですか。自分の魂を売るみたいなのは嫌いなんですよ。正々堂々やりたい。でも、配信自体はしなきゃいけないので、マラソンの様子とか流してます。もう、めっちゃ健全な感じで」
上手に煽るチアガールの場合、ファンの男性同士で投げ銭競争を仕掛ける。結果、ライブチャット画面は、「ミサイル」と呼ばれる5万元規模の大口課金が飛び交う戦場と化す。そのため、大量課金したのに球場で手を振ってくれないとか、配信中にしっかり感謝してくれなかったといった理由で怒り出すファンもいる。


