「おまえ、よくも俺の兄貴にチクりやがったな」「それの何が悪いんだよ。いじめをしているおまえらが悪いんだろ」
いじめを告発された少年と、それを告発した少年。両者の論争はSNSだけでなく、現実世界にまで影響を及ぼす。最終的に告発した側の13歳少年が殺害された理由とは? そして、この事件がイギリス全土に招いた大きな影響とは?
2021年(令和3年)に起きた事件の結末を、我が子を無惨に殺された親、学生時代ひどいイジメに遭った者などが仕返しを果たした国内外の事件を取り上げた新刊『世界で起きた戦慄の復讐劇35』(鉄人社)から一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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母と息子の「最後の会話」
年が明けた2021年1月3日15時半ごろ、オリーは外出の準備を始める。どこか浮き浮きとした様子に母アマンダはすぐに察した。デートに違いない。さりげなく尋ねると、息子は照れくさそうに「友達と約束しているんだ」と笑い、家を出た。実際、彼はこの日、オリビア(仮名。同14歳)という少女と会う約束をしており、気分は上々だった。
ところが、それから30分もしないうちに、オリーの友人の少年が家に飛び込んできて衝撃的な事実を告げる。自宅近くの野原「バグズ・ボトム」でオリーが刺されたというのだ。母アマンダと父スチュアートが友人少年の案内で現場に駆けつけると、彼の言葉どおり雑草の中で血だらけの息子が倒れている。母は泣き叫び、父は警察・消防に通報。次第に人だかりが出来て、そこに偶然犬の散歩中だった非番の看護師が応急処置を施す。ほどなく救急隊が到着したものの、オリーは病院へ搬送される救急車の中で息を引き取ってしまう。いったい彼の身に何があったのか。
