日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

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ポスト北尾レースの号砲

 SBI新生銀行(川島克哉社長)は、前身である旧日本長期信用銀行時代に注入された公的資金約2300億円の完済に目途を付けた。経営の自由度が高まることを受けて再上場を東証に申請。早ければ年内にも実現する見通しだ。

 焦点は再上場時の時価総額である。23年の上場廃止時は約5600億円だったが、再上場で1.5兆〜2兆円も夢ではないと強気の声も聞かれる。

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SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏 ©文藝春秋

 公的資金の返済には大きな負担を強いられており、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長にとって、再上場は早い方がいい。新生銀行のTOB(非上場化)に要した資金に加え、「SBIは住信SBIネット銀行株の持ち分をNTTドコモに売却し、総額4200億円規模の資金を調達。公的資金返済にもこの資金が充当された」(メガバンク幹部)ためだ。

 ただ、時価総額の向上には、投資家が納得する成長戦略が必要だ。「そもそも公的資金を長年返済できなかったのは、公的資金注入後に利益を上げられず、株価が低迷したことが主因。再上場後の成長戦略が注目される」(市場関係者)。

 鍵を握るのは、北尾氏が主導する「第4のメガバンク構想」で、SBI新生銀行が核となって複数の地銀を束ねるハブの役割を担う。直近では東北銀行(佐藤健志頭取)も入り、参加地銀は10行に。SBI新生銀行は収益拡大に向けて貸出増強など資産拡大を目指す。

 ただ、ネックとなるのは25年3月末で9.3%という自己資本比率の低さだ。

この続きは、大手証券幹部が“ポスト北尾”の有力候補2人の名前を挙げています〉

※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年11月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。

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