「マッチョの楽園を作りたい」――そう語るのが、東海3県を中心に全国各地で障害者グループホームや訪問看護事業を展開しているビジョナリー(名古屋市)の社長、丹羽悠介さんだ。同社は“日本一マッチョが多い介護の会社”を自称しており、ボディビル実業団チーム「7SEAS」を運営。所属するメンバーを含め、数多くのマッチョたちが介護現場で日々働いている。

 同社はマッチョ人材の広告効果もあって、人手不足も何のその。一般的に「不人気」とされる介護業界でありながら、ガンガンと採用活動を進め、事業拡大に成功している。そもそもなぜ、介護の現場にマッチョ人材を集めることにしたのか。「マッチョの楽園」という言葉に込める思いについて聞いた。(全3回の1回目/続きを読む

実業団チーム「7SEAS」を手掛ける“日本一マッチョが多い介護の会社”ことビジョナリー。7SEASのメンバーも、介護現場で働いている (提供=同社、以下同)

◆◆◆

ADVERTISEMENT

「ヤクザ」を名乗る人たちに拉致されたことも……

――美容師、営業職を経て、23歳で起業されたそうですね。ビジョナリーを創業したきっかけから教えてください。

丹羽悠介さん(以下、丹羽) 美容師を目指した理由は「かっこいいから」という単純なもので、起業もノリでした部分が大きかったです。当時は起業ブームで、堀江貴文さんや藤田晋さんが世の中をにぎわせていた時期。僕もその流れに乗って会社を作りました。

 そういう軽いノリで行動する人間だったので、金銭トラブルに巻き込まれたこともありました。

――「金銭トラブル」とは具体的にどんな内容だったのでしょうか?

丹羽 知人が詐欺をしたとでっち上げられ「その連帯責任を負え」というような形で、ヤクザを名乗る人たちに車の中へ拉致されまして……。家族や友人が住んでいる家の前を走り回りながら「損害が出たから責任をとれ」と脅されたんです。

 いま思い返すと「ハメられた」と分かりますが、当時は若くて知識もなかったので「逃げられない」と観念してしまって。その場で現金を奪われた挙句、「足りないから」と消費者金融で300万円ほど借りさせられました。知人もグルの可能性が見えてきてしまい、引きこもりになるくらい人間不信になりましたね。