そこで小澤さんは製造体制と作業手順を見直し、生産性向上のため機械化を提案。500万円の機械を導入し「いも焼き菓子ひがしやま。」を1日1万枚生産できる体制に整えた。
その矢先の2020年、新型コロナウイルスが流行する。販売店の休業で売り上げが激減したものの、幸運にもテレビ番組で「いも焼き菓子ひがしやま。」が紹介されECサイトへの注文が殺到。わずか3カ月足らずで売り上げが例年の1.5倍に伸びた。
量産に向けて機械化を進めていたことが功を奏した。「小澤さんの提案がなければ、できなかったことですね」と畦地さんは当時を振り返る。
焼きモンブランの誕生
時を前後して、しまんと地栗を用いた商品開発も進めた。先述したように、しまんと地栗は貴重な素材であるため、小澤さんはしまんと地栗を使う商品を限定することにした。
「四万十ドラマさんにはすでに、しまんと地栗を使用した商品がいくつかありました。そのため、これから開発する商品にはほかの地域から集めた栗を使うことにしたんです。しまんと地栗にこだわってしまうと売り上げを伸ばせないので」
そうして新たに開発したのが「焼きモンブラン」である。
高知産の天日塩を加えた香ばしいタルト生地に、国産栗のクリームをたっぷり絞って焼き上げた一品だ。最後に1回焼くことで、シンプルな味わいのなかにも濃厚な栗の風味を感じられるようにした。
最大の特徴は、常温保存できる焼き菓子であること。モンブランといえば冷蔵・冷凍保存するケーキが一般的だが、焼き菓子にしたのにも理由がある。
「当時、四万十ドラマさんの商品構成は冷凍の生菓子が売り上げの7~8割を占めていて、販路拡大が難しい状態でした。常温流通できる商品の比率を6~7割まで高める必要があると感じたので、いつでも気軽に食べられる焼き菓子にしたんです」
「うちでつくりましょう」からOEMがはじまった
2021年5月、四万十川ドラマの新工場「しまんと地栗工場」が竣工し、「いも焼き菓子ひがしやま。」は1日1万枚、「焼きモンブラン」は1日5000個製造できる体制が整った。