「1週間も放置されているんですか。今すぐ向かわなければなりませんね」

心強い言葉をいただき、すぐに飼い主さんの入院する大学病院に直行してもらいました。そこで鍵を受け取り、ご自宅へ。最悪の事態も想像しながら中に入ると、そこにミニチュアダックスフントのアミちゃんが糞尿にまみれた状態でいたのでした。

「アミちゃん、1週間もひとりだったのに、元気があって食欲もありました。良かったです。今回は、お水とゴハンを替えて、ある程度綺麗にしたものの、可能な限り早く、場所を移動させるべきです。岐阜からはいつ来られますか?」

ADVERTISEMENT

「明日、何とか向かうことができます。昼には保護できるかと」

病室にいる飼い主から託された命

翌日、急遽予定をキャンセルして、関西に向かいました。鍵を受け取りに大学病院へ向かうと、話すのもままならない状態の飼い主さんと会うことができました。

「どうか……よろしく……おねがい……します」

十分に言葉を交わすことはできませんでしたが、その思いを受け取り、いざご自宅へ向かいました。床は糞尿まみれで、足の踏み場もない状況でした。放置期間は1週間ですが、おそらくその前から十分な世話ができなかったものと思われます。私はアミちゃんをクレートに入れて保護し、そのまま岐阜に戻りました。

その後、アミちゃんは岐阜で新しい飼い主を探すこととなり、執筆時点も募集を継続しているところです。

ペットに関わる対応は、看護師さんにとっては本来業務の範囲外です。飼い主さんが看護師さんに苦境を伝え、親切な担当看護師さんが当団体に連絡をしてくれたこのケースは、幸運が重なったことで、アミちゃんの命が救えました。

しかし、そうでないケースも多く発生しているのが実情です。そして、今後、アミちゃんのように、入院時に取り残されたり、行き場のないペットの問題は、増え続けていくことが容易に想像できます。その具体的な状況について、次に詳しく説明します。