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行政の保護施設には大抵獣医師が勤務していますが、その獣医師が必ずしも行動学に精通しているかといえば、決してそうではありません。
「ケージの中で一生隔離」か「安楽殺」か
神奈川県では、2025年度「強い攻撃性を示す個体等に対する動物福祉の観点からの対応に係る検討会」が開催されています。強い攻撃性のある犬を譲渡するのはやはり難しいのですが、一方で殺処分ゼロの方針の下、安楽殺をすべきかどうかについては議論が分かれています。
たとえば誰もさわれない、ケージから出ることができない犬が、そのままケージの中で長い一生を過ごすのが本当に幸せなのか、安楽殺をすることが苦痛からの解放になるのか、そうした判断は、熟議の上で行われなければならないでしょう。
この検討会には私も参加しますが、殺処分ゼロの先に、こうした議論が展開されている事実を、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。
殺処分ゼロは綺麗な言葉かもしれませんが、その背後には、多くの問題があることも理解しなければなりません。
奥田 順之(おくだ・よりゆき)
NPO法人「人と動物の共生センター」代表、獣医師
獣医行動診療科認定医。岐阜大学獣医学課程卒獣医師。鹿児島大学共同獣医学部講師(動物行動学)。岐阜大学在学時、殺処分問題解決を目的とした学生団体を設立し活動。卒業後、社会的合意形成を支援するパブリック・ハーツ株式会社入社。社会教育プログラムの開発に携わる。NPOを起業するにあたり、社会的企業支援プログラムに参加。2012年NPO法人人と動物の共生センターを設立。飼育放棄の主な原因となっている問題行動の予防・改善を目的に、犬のしつけ教室ONELife 開業。2014年ぎふ動物行動クリニック開業。2017年に獣医行動診療科認定医取得。現在、同クリニックでは、年間150症例以上の新規相談が寄せられ、解決のサポートを行っている。2017年「ペット後見互助会とものわ」を設立し、ペット後見のサポートを開始。2025年までに約40件のペット後見契約を締結。ペットと自分の将来に悩む飼い主への支援を行っている。動物行動学・動物福祉学の専門家として、各行政検討会等の委員を務め、ペット産業の適正化に取り組んでいる。ペット防災活動にも取り組み、2021年NPO法人全国動物避難所協会設立。
NPO法人「人と動物の共生センター」代表、獣医師
獣医行動診療科認定医。岐阜大学獣医学課程卒獣医師。鹿児島大学共同獣医学部講師(動物行動学)。岐阜大学在学時、殺処分問題解決を目的とした学生団体を設立し活動。卒業後、社会的合意形成を支援するパブリック・ハーツ株式会社入社。社会教育プログラムの開発に携わる。NPOを起業するにあたり、社会的企業支援プログラムに参加。2012年NPO法人人と動物の共生センターを設立。飼育放棄の主な原因となっている問題行動の予防・改善を目的に、犬のしつけ教室ONELife 開業。2014年ぎふ動物行動クリニック開業。2017年に獣医行動診療科認定医取得。現在、同クリニックでは、年間150症例以上の新規相談が寄せられ、解決のサポートを行っている。2017年「ペット後見互助会とものわ」を設立し、ペット後見のサポートを開始。2025年までに約40件のペット後見契約を締結。ペットと自分の将来に悩む飼い主への支援を行っている。動物行動学・動物福祉学の専門家として、各行政検討会等の委員を務め、ペット産業の適正化に取り組んでいる。ペット防災活動にも取り組み、2021年NPO法人全国動物避難所協会設立。
