「ドライブに行くから付き合え」と誘われて

 調べによると、Kは経営者のスナックバーで働いたことがあり、その時Aと知り合った。

 

 Aの話によると3日午後11時ごろ、Kのマンションへ遊びに行ったところ、部屋は空っぽだったが、ドアが開いていたので入って待っているうち、4日午前2時ごろになってKが帰宅。「ドライブに行くから付き合え」と誘われた。Kは小型乗用車を運転して助手席にAを乗せ、千葉・銚子方面にドライブ。途中でAはぐっすり寝込んでしまい、車が急停車したので目が覚めた。海辺で車が砂の中にはまり込んでしまい、動けなくなっていた。KはAに「スコップを借りてこい」と命令。Aは夜明けに出航の準備をしていた漁師宅へ行ってスコップを借りてくると、Kの命ずるまま、車の脇の砂浜に深さ約70センチの穴を掘った。

 

 すると、Kは車のトランクから新聞紙やビニールに包まれた長さ40センチの包み3個を取り出して穴の中に埋めようとした。ところが、漁師が数人海辺に出てきたため、埋めるのをやめて「早く砂をかぶせろ」とAをせき立て、包みをトランクに戻した。車を漁師に押してもらって出発したのは朝5時ごろだった。車はさらに千葉方面に向かったが、途中、道路脇の茂った川べりに来ると、Kは車を止め、トランクから包み1個を取り出して川の中に投げ捨てた。「おまえも手伝え」とAに言い、Aも小さな包みを捨てた。トランクの中には糸ノコと替え刃1本があった。さらにKは近くの草むらに包み2個を捨て、また車を走らせた。千葉市内に入ると小高い丘に登り、木の根元に穴を掘ってまた包み1個を埋めた。

 

 その後、東京に戻る途中、AがKに「何を捨てたのか」と聞いたところ、「おばさんが大事にしていた、何百万(円)もする犬を殺した。見つかると大変なので、バラバラにして埋めたのだ」と説明した。東京に着いたのは昼前。2人はKのマンションに入ったが、応接間には血痕が5~6個あった。それを見たKは慌てて血痕をふき「何でもない」と言った。Kは同日夜、1人で映画を見に出かけてしまった。Aは胸騒ぎがしたのでスナックバー経営者にその話をしたという。

遺体の運搬に使われた車(「週刊大衆」より)

ADVERTISEMENT

 Aでなくても怪しいと思うだろう。「被害者はバーのマダム 『殺し屋雇って…』と自供」が中見出しの毎日の記事に戻る。