金ノコで次々に切断し、8個の包みに…

 自供によると、KはMさんが都心のキャバレーに勤めていた1年半ほど前から知り合って深い仲になっていたが、3日午前8時半ごろ、MさんがKのマンションを訪れ、借金を申し込んだという。「250万円(同約1020万円)を月2分の利子で1年間貸してほしい」と言うので「150万円(同約610万円)でどうか」と答えた。「それっぽっちなら要らない」と言ったのでけんかになった。

 

 МさんがKを「朝鮮人」とののしって席を立ち、洋服掛けや靴などを部屋の中に投げつけて暴れた。Kはカッとなり、階段を2~3段下りたところでMさんを突き飛ばした。Мさんが踊り場で倒れたので、自宅応接間に担ぎ込んで介抱したが、そのうちまたけんかになり、Kがボウリングのピンで後頭部を殴ったところ、Mさんは失神した。間もなく意識を取り戻して3度目のけんかに。今度はネクタイでMさんの首を絞めた。一度息を吹き返したが、もう一度ネクタイで絞めると死んだ。

 

 殺したのは3日午前9時から10時半までの間。風呂場で遺体を切断したのは午後7~9時の間で、自宅にあった金ノコで次々に切断。8個の包みにした。胴は電気器具包装用のビニールの大袋で包み、その上を半分に切ったビニールカーペットで包んだ。遺体の包みを運んだ車は同夜、赤坂の友人に5000円(同約2万円)で借りたブルーバード41年型。隅田川には長さ60センチ、幅30センチ、厚さ8センチのコンクリート製のふたをチェーンで縛り付け、重りの代わりにして投げ込んだという。

事件現場となったKのマンション(「週刊大衆」より)

お金に困っていた犯人の男・K

  記事は続いて、犯行の動機について触れる。

 自供のうち、動機について捜査本部は逆の見方をしており、「KがMから借金の返済を求められたのに違いない」と言う。調べによると、Kは最近金に困っていたらしく、マンションの電気代も払えず、送電をストップされ、ロウソク生活を送っていた。そんな状態でMさんに大金を貸す余裕などなく、逆にМさんから借金をしていた様子だった。本部は借金の返済を強く迫られて殺したとの見方をとっている。さらに、以前は親しかったМさんとの仲が最近では冷たくなったという情報もあり、これも殺人の動機の1つになったとも考えられるとしている。

「解体」に使われた金ノコ(東京タイムズ)

 ボウリングは日本では1960年代後半~1970年代前半が人気のピーク。Kもボウリングファンだったという証言が当時の週刊誌に見える。

「あまりの恐ろしさに自分でも震え上がり」

 同じ7日付朝刊のサンケイは、遺体の「解体」は「ロウソクをともし、その明かりを頼りに」行われたと記述。読売には「車のトランクにバラバラ遺体を詰め込んだ。あまりの恐ろしさに自分でも震え上がり、部屋に戻るとしばらく足腰が立たなかった」とある。確かに鬼気迫る光景だ。

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「解体」は「ロウソクのもとで」行われた(サンケイ新聞)

 朝日の記事は被害者と加害者の経歴を中見出し付きでかなり詳しく報じている。彼らの経歴からみえるものはーー。(つづく

次の記事に続く 「首発見」「腕、足、見つかる」遺体は切断され8か所に…「持ち前の美貌から、どの店でもNo.1」28歳“銀座の女王”はなぜ殺された?