「遺体は六本木、レストランクラブのマダム」「殺し屋3人に頼んだ」

 捜査本部がKを赤坂署に呼び出して追及したところ、最初は「犬を殺して運んだだけだ」と言い張っていたが、6日正午すぎから「遺体は港区六本木、レストランクラブ『ロイヤルパレス』のマダムМ(28)だ。100万円(同約410万円)貸したが返してもらえず、ゴタゴタしたため、バーで知り合った殺し屋3人に50万円(同約204万円)で殺すよう頼んだ。3日夜帰宅すると、室内に血痕があり、車のトランクに遺体らしい包みがあった。自分はただそれを捨てただけだ」と自供した。

 

 鑑識課がKのマンションや車を調べたところ、ルミノール反応で人血が染みついていることが分かったため、殺人事件と断定。捜査本部は千葉県警に協力を求め、遺体を捨てたと思われる川や穴を掘った現場の捜索を始めた。

 毎日の記事はKとAの身上に触れている。

 Kが住んでいたのはTBS裏の高台にあるデラックスマンション。管理人の話によると、Kの部屋は八畳の洋間に四畳半の日本間、台所、風呂場付きで家賃は4万7000円(現在の約25万円)。Kは金融業をしていてよく車で外出し、借金の取り立てが厳しくトラブルが多かったという。ガスと電気の集金人の話によると、Kは使用料の支払いが悪く、滞納することが多かった。そのため、電気は10月いっぱいで止められ、室内にロウソクをつけて、高級マンションにはそぐわない生活だった。

 

 Aは流行歌手に憧れて10月31日、岐阜市から上京。スナックバーでアルバイトをしており、Kの義弟と親しかった。

 毎日は「銀座と赤坂で二軒経営 殺されたМさん」の中見出しで被害者についても書いている。

 殺されたМさんは6年前、北海道江別市から上京。「水商売」に入り、現在、銀座のバー「ブラックタイ」と「ロイヤルパレス」を経営していた。4日から行方不明で、妹の女子大生が実家に連絡するなどして行方を探していた。

「ブラックタイ」があったビル周辺(「週刊大衆」より)

「銀座の女王」と「大言を吐く男」

 翌11月7日付朝刊は各紙続報を掲載した。今度は朝日新聞(以下、朝日)を見る。

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隅田川から遺体の一部 バラバラ事件 ののしられ絞め殺す 貸借関係からもつれ

 

 東京・赤坂の高級マンションを舞台にしたバラバラ殺人事件について、中野署の捜査本部は6日朝から、自称芸能ブローカー兼金融業K(23)に任意出頭を求めて調べていたが、同日夕になって「親しい関係のレストランとバーのマダムМさん(28)を殺し、バラバラにして捨てた」と自供した。このため捜査本部はKを殺人と死体損壊、死体遺棄容疑で、Kと遺体を捨てに行った少年A(19)を死体遺棄容疑で逮捕した。

 

 また、Мさんの遺体のうち胴の部分が言問橋と白鬚橋の間の隅田川の中から見つかった。捜査本部は金の貸借関係のもつれか痴情からの犯行とみて、引き続きKを追及している。遺体のほかの部分は千葉県九十九里方面の沼地に捨てた公算が大きく、7日朝から千葉県警などの協力を求めて本格的な裏付け捜査を進める。

 朝日の記事は2人の関係と事件の関わりについても書いている。