「若者の車離れ」が叫ばれて久しいこの時代に、関東を中心に存在感を発揮している青年たちの「改造車チーム」があるという。「匿名集団」と名乗る彼らのSNSアカウントを覗くと、車高を落とした黒塗りの高級セダンの写真が並ぶ。
はたして彼らは、昭和暴走族の「リバイバル」のような存在なのか。謎に満ちたその正体に迫るべく、我々は彼らの代表者とのコンタクトを試みた。話を聞くなかで、浮かび上がってきた彼らの意外な実像とは――。
「内輪だけでは集まらない」ナゾの活動実態
――まず率直に、「匿名集団」の活動について教えてください。改造車のチームというと、やはり「深夜の集会」といったイメージがありますが。
匿名集団A氏(以下、A氏) いや、我々はそういったチームではなくて……。そもそも今は、チームのメンバーだけで集まることがほとんどないんです。
――え、チームで集まらない? では一体何を?
A氏 主な活動としては、イベント参加ですね。ドレスアップカーのイベントで、メンバーの車を並べて。その様子をSNSで発信していくところまでがセットです。
――イベントというのは、改造車の集会のような?
A氏 いや、どちらかというと展示会ですね。規模はまちまちですが、主催の方が会場を貸し切って、そこに個人やショップが自分たちの車を並べるんですよ。それを来場者に見てもらったり、投票で入賞者を決めたり、といった具合ですね。
――ということは、そこで入賞を目指している?
A氏 いえ、それが目的でもないんです。もちろん入賞者が出れば嬉しいですけどね。あくまで趣旨は「その場でしかできない経験を共有して、その体験を発信していく」というところになります。
活動目的は「改造車のイメージを変える」
――かなりマイルドというか……。正直なところ、夜な夜な集団で街を徘徊しているようなイメージでした。
A氏 そうですよね。実は我々の活動自体、そういう改造車の悪いイメージを払拭したくてやっている面も大きいんですよ。
――イメージの払拭、ですか。
A氏 ええ、ニュースで報道されるのもネガティブな側面がほとんどで、現実でも「うるさいだけ」とか「こんな車で迎えに来られたら最悪」とか。
私自身はずっと「車の改造は普通のこと」という環境で育ってきました。ですが、大人になるにつれて、どうも世間的にこういう趣味はイメージが悪いらしい、と。

