2020年から閉店が続いていた東京近郊の立ち食いそば屋は2024~2025年になると一転、新規開店する店が増加した。背景にはコロナ禍からの回復、他業種からの参入、和食などのプロが個人店として登場、チェーン店などの出店再開などがあげられる。そんな1年となった2025年を振り返って、今年出会った“至高の一杯”をまとめてみよう。
◆◆◆
生のニラを1束…まるでスタミナラーメン/「立ち喰いそばうどん松石」の「スタミナそば」
まずは、2025年の冬に食べ、圧巻だった「立ち喰いそばうどん松石」の「スタミナそば」。
「立ち喰いそばうどん松石」は高田馬場に2024年9月にオープンした。こちらのつゆは鰹節、鯖節、昆布、椎茸などで出汁をとり、鹿児島産の醤油を使った返しの濃い甘めのしっかりした味である。天ぷらは横浜の「天ぷらいわた」から仕入れ、足りない部分は自家製で作っている。麺は株式会社むらめん製で、そばは粗挽き、白、田舎、さらにきしめん、うどんなどがそろう。
そんな中誕生したのが「スタミナそば」。どんぶりは生のニラで全面覆われていて玉子がセンターにのる。ニラを1束使う。根元部分は短く、葉先は長めにカットしている。ニラをかき分けると炊いた豚バラ肉あるいは鶏肉がごろごろ出てくる。
食べ始めはニラはシャキッと、そして次第につゆに馴染んでいく。そこに肉のうまみがオン。濃いつゆがパンチを与える。途中でにんにくを入れて味変するとさらにパンチ力が増す。
「スタミナラーメン」ではよくみるビジュアルだが、そばではまずお目にかかれない一品であった。



