前田敦子の卒業を経て…
翌2012年はAKBにとって大きな区切りとなる1年となった。3月には前田敦子が卒業を発表する。6月の選抜総選挙は前田不参加となり、日本武道館での開票イベントでは大島優子が前年は前田に譲った1位に2年ぶりに返り咲く。
AKBは結成時から東京ドームでのコンサートとともに、その翌日には普段どおりAKB48劇場で公演を行うことを目標としてきた。それがこの年8月についに実現し、3日間の東京ドームコンサートを成功裏に終えると、翌27日には前田の卒業公演が劇場で行われた。
絶対的エースの卒業を受けて、この年の紅白の演目は「AKB48 紅白2012 SP~第2章~」と題され、選抜総選挙で1位となった大島のセンター曲「ギンガムチェック」のほか「UZA」「真夏のSounds good!」を披露した。出番も初めて番組後半に設定された。
女性グループを中心に「アイドル戦国時代」と呼ばれるように
AKBがひとつの頂点をきわめる一方で、2010年代に入ってからというもの48グループ以外のアイドルの勢いも増し、女性グループを中心に「アイドル戦国時代」と呼ばれる状況を呈していた。この年の紅白でもそれを反映して、姉妹グループのSKEとともにももいろクローバーZが初出場を果たしている。
AKBが東京ドームでのコンサートという大きな目標を達成した翌年、2013年には河西智美、篠田麻里子、板野友美、秋元才加と初期からグループに大きく貢献してきたメンバーの卒業があいつぐ。このうち板野は2月に公開されたドキュメンタリー映画中のインタビューで、篠田は6月の選抜総選挙の開票イベントで5位に入ったときのスピーチでそれぞれ卒業を発表した。
指原莉乃が大島優子を抑えて1位に
この年の選抜総選挙では、大島優子に対し、前年にAKB48から福岡のHKT48に移籍していた後輩の指原莉乃との争いが注目される。結果は指原が15万票超えで初めて1位となる。2位に終わった大島は「涙の一つも出ないこの感覚、お腹を抱えて笑ってしまう総選挙は初めてです」とスピーチし、後輩の健闘を称えた。この結果を受けての指原センターのシングル「恋するフォーチュンクッキー」は振付とともに大ヒットし、AKBの新たな代表曲となる。
指原をはじめ個性的なメンバーの台頭もあってグループが活気づくなか、この年の紅白では、前年に続くSKEに加え、NMBが初出場を決める。48グループが勢力を拡大しながら次のステージへと進んでいく一方、大島のなかでは前年の前田の卒業以来、自身の卒業を強く意識するようになっていた。




