2023年にチーム制の休止が発表され…

 先述のような事情から姉妹グループどうしの結びつきが弱まるとともに、AKB内でも2023年には結成以来続いてきたチーム制の休止が発表され、メンバーやファンに衝撃が走った。

 AKB人気は、選抜総選挙に象徴されるようにメンバーやチームなどさまざまな面での競争に支えられてきたところが大きい。それを思えば、AKBがかつてのような勢いを失ってしまったのは致し方ないのかもしれない。

 じつは大島優子は、2013年暮れの卒業発表直前に秋元康と行った対談のなかで、現状にも通じるようなAKBに対する懸念をほのめかしていた。

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《AKBの知名度が高まって、すごく人気が出てきたのが3年前くらい。でもそれから3年たって、いま時代のニーズがすごく変わってきているのを感じます。若手の子に、世間がそこまで食いついてこない。磨けば輝く子がたくさんいるのに、以前みたいに世間にその子を育てようっていうニーズがないというか》(『AERA』2014年1月13日号)

 AKBの体制が確立するなかで、ファンもグループが絶えず変化していくよりは現状維持を望み、メンバーに対しても育てるのではなく、そのままでいてほしいという意識が強くなっていったのかもしれない。大島としては、それをはがゆく感じるところがあったのだろう。

2013年末の紅白で卒業を発表した大島優子 ©文藝春秋

 もちろん、いまにして思えば、メンバーどうしの熾烈な競争は、グループを活気づける反面、メンバー個々人に対して心身両面で大きな負担を与えていたことは否めない。それだけに昔の体制がよかったとは必ずしも言い切れない。時代の趨勢も、コンプライアンスなどの観点から、過度に競わせることを良しとしなくなっている。

高橋みなみ卒業前の紅白でのサプライズ

 とはいえ、ときに激しく競い合った仲間だからこそ絆が深まるということを、大島は身をもって示してきたこともまた事実だ。とりわけ、2015年、翌年に卒業を控えた高橋みなみの最後の紅白で、サプライズで前田敦子と大島優子が登場したことはそれを印象づけた。

2025年紅白のリハーサルで集まった(左から)高橋みなみ、前田敦子、大島優子(前田敦子のインスタグラムより)

 その後3人が集まった座談会で明かされたところによれば、このとき前田は、秋元康に「出たら絶対にみんなも喜ぶ、たかみな(高橋)も喜ぶよ」と言われたことに加え、スタッフから「優子も出ると言ってる」と聞いたことから、サプライズ出演に即OKしたという。しかし、実際には大島は迷っており、話を進めるなかで一時は前田のみの出演になりかけたため、前田がそれはきついので「優子も説得してください」とスタッフに頼み込んだらしい。