【2区】花田監督も「胴上げしてあげたい」…早稲田大・山口智規を応援したくなる理由

 城西大のヴィクター・キムタイが区間新記録の走りを見せるなど、外国人ランナーが好走しましたが、僕の注目は日本人トップでゴールした早稲田大の4年生・山口智規選手でした。

 山口選手はとても感じのいい青年で、大会会場で会うといつも僕のところに来て「任せてください! 俺やりますよ!」などと宣言してくれます。ただ、ポテンシャルの高さの割に、結果がついてこないまま最上級学年を迎え、駅伝主将になりました。

 昨年の箱根駅伝では区間12位。2025年4月の日本学生個人選手権1万mは13人中、11位。早稲田のエースとしては、考えられない結果に試合後に「大丈夫?」と声をかけたところ「やっちゃいました……」と真っ青な顔に。そこで花田監督と山口選手は、これまでとは違うアプローチに取り組みます。10000mやハーフマラソンといった長い距離ではなく、山口選手のもつスピードを活かした1500mを走るというものです。

ADVERTISEMENT

 それはすぐに結果に結びつきます。6月に行われた日本インカレでは1500mに出場。予選、決勝とスタートから先頭を譲らず、ぶっちぎりで優勝。続く5000mも優勝し、二冠を果たすのです。

日本インカレで1500mと5000mの二冠を達成した早稲田大の山口智規 ©EKIDEN News

 ここで調子を取り戻した山口選手は、出雲駅伝で2区区間賞、全日本大学駅伝では7区4位と好走します。特に出雲駅伝は完璧な走りを見せました。

「山口を胴上げしてあげたいんだ」

 チームメイトは彼が3年以上苦労してきた姿を見ています。

 早稲田大のメンバーは今大会で「山口を胴上げしたい」と目標を語りました。チームメイトだけでなく、花田監督やスタッフも「山口を胴上げしてあげたいんだ」と話すぐらいですから異例のことです。

 前大会では前半に突っ込んで、後半メロメロになって失速をした山口選手は、今大会でも最初から突っ込んだ走りで、城西大のヴィクターと並走をします。「速すぎるんじゃないか」という周囲の心配をよそに最後まで好走し、区間4位を獲得。この流れに「これは早稲田の優勝来た!」と多くの関係者が思ったことでしょう。それなのに、まさかあんなドラマが待っていたとは。

 ただし、早稲田大は来年からがすごい。今季の全国高校駅伝1区、区間記録を更新した増子陽太(学法石川)、2着の新妻遼己(西脇工高)、3着の本田桜二郎(鳥取城北高)。“令和の三羽烏”と呼ばれたエース区間トップ3が揃って早稲田大に入ってくるのです。野球でいえば山本浩二、田淵幸一、富田勝です(50代以上ならわかるはず)。ここから早稲田大の黄金時代が来るのか。早くも来年の箱根駅伝に期待が高まります。