【1区】タイムは悪くないのに…なぜ青学大は16位に沈んだのか
青学大は小河原陽琉選手が区間16位になったことで、出遅れた感がありましたが、実は例年であれば区間賞を取ってもおかしくないタイムでした。
近年1区はスローペースで入り、六郷橋までは集団走で進む傾向にありました。飛び出す選手がいても、終盤で落ちてくることがほとんどだったので、多くの選手が様子見の状態だったのです。ところが前大会、スタートから飛び出した中央大の吉居駿恭選手がそのまま好走を続け、歴代4位の記録で区間賞を獲得。中央大の往路2位という結果に。2022年の98回大会でも兄、吉居大和選手が1区5.6kmで飛び出しそのまま区間記録を更新。今年も吉居駿恭が1区にくるに違いない、という「吉居家伝統の箱根1区飛び出し」残像が効いていた。
吉居家の飛び出し以降、「学生駅伝は先手必勝」が定石となり、各大学が攻めの戦略を取ってきたわけです。
ここで前大会の1区の記録を振り返ってみましょう。
前大会で1時間01分台でゴールをしたのは中央大の吉居駿恭選手のみ。2位~16位までは02分台です。ところが今大会では、1位~7位までが1時間00分台、8位から16位の青学大までが01分台で走っているわけです。どれだけ速かったかわかるでしょう。
これまでの区間記録は2022年大会で中央大の吉居大和選手が序盤からの飛び出しで出した1時間00分40秒。15年ぶりの記録更新という快挙で、このタイムを超えるのは難しいだろうと見られていました。
それを今回、國學院大の青木瑠郁選手が塗り替えたわけですが、その走りはというと、中央大の藤田大智選手らがハイペースで突っ込み、振り落としにかかるなか、「こんなスピードで最後まで持つわけ無い」と冷静に判断。スタートと同時に最後尾に下がり自分のペースを守り、淡々と刻んでいきました。
多摩川を渡った先にある二子新地は國學院大の拠点。ジョグでちょっと足を伸ばせば1区のスパートポイントの六郷橋にたどり着きます。青木選手にとっては大学4年間を過ごした勝手知ったる景色。冷静に勝負どころを見極めて区間記録を塗り替えます。
好タイムのポイントは天候にあった
ここまでの好記録が出た理由のひとつは天候にあると考えています。
例年の追いかけ観戦では、レース終盤はダウンコートを脱ぐほど気温が上がるところ、今年は1日中、寒かった。一方で日差しはあるので身体は冷えることはない、走りやすい気候でした。
そして一番大きいのは無風だったこと。今回、5区の箱根の最高到達点にも行きました。いつもは植物が風向きに合わせて斜めになるほど強風なのですが、今回はほぼ無風状態。風があると他の選手を風除けにして走ろうとしますが、今回は風が無かったため、牽制をする必要もなかったのです。
1区だけでなく、2区、5区、8区、10区と区間新記録ラッシュとなったのは最高の気象条件が整っていたことも一つでしょう。今後この記録を抜くのはなかなか難しいという気もするのですが、定石が覆ったことを考えると、来年あたりパンと塗り替えられる可能性もあると睨んでいます。



