主な根拠は、歩くときに腰から下が振り子のように動くというものですが、歩くときの脚はそんなに単純ではなく、股関節、膝、足首が複雑に連動しています。そもそも足・脚だけでも十分に重いのに(成人男性の平均が片脚で5~6kgあります)、そこにわざわざ重りを付け足す理由がありません。
もちろん手抜きとしての軽さは論外ですが、どのメーカーも、あるいはどのスポーツの分野でも1gを軽くするために、巨額の資金を投じて開発にしのぎを削るのが、令和の時代です。
土ふまずやカカト周りをきちんとサポートするためのパーツは必要ですが、それなら安いランニングシューズでも標準装備されています。例としては、同じアディダスの廉価版の代表作ランファルコン5ワイドです。定価は6600円ですが、実勢価格は4000円台とお手頃価格。ふまずの絞りもあり、カカト周りも安定していて、メッシュで通気性もよく、歩くだけなら十分すぎるスペックと言っていいでしょう。ランニングシューズなので、もちろん走ることもできます。
「一日一万歩」も歩く必要はない
ウォーキングシューズの擁護をあえてするなら、脚力の衰えたシニアにはたしかに優しいと言えることです。底が曲がらず、ローリング機能が効くので、体重を乗せさえすれば足が勝手に前に出ます。しかし、逆を言えば自力でガンガン歩けるなら高価な専門靴を買う必要はありません。過保護なローリング機能はかえって足の握力を落とします。
よく「一日一万歩運動」とショップやクリニックで聞いて、「一万歩も歩けない……」と落ち込んでいる方も見かけますが、これは歩数計メーカーの宣伝コピーで、科学的根拠はありません。2023年の京都大学の研究では、週に1、2日だけ一日あたり8000歩の歩数で全死亡リスクが14・9%低下することがわかっています。
また同様に、イギリスのケンブリッジ大学とクイーンズ大学ベルファストの研究チームによれば、「一日(=毎日換算)10~20分の早歩きでも、心疾患、脳卒中、がんなどのリスクを有意に低下させて早期死亡のリスクを10%減らす可能性がある」とされています。
こう考えるとハードルがぐっと下がるでしょう。私も同じです。 ウォーキングや散歩は適当に気の向くままでいいのです。クソ真面目に「まずは靴から!」と考えるのは、靴屋のいいカモです。肩ひじ張らずにお気に入りの靴で気軽に歩きましょう。
