師匠に言われて「ずっと悔しかった言葉」

三浦 ずっと悔しかった言葉があって。ベートーヴェンピアノ・ソナタ第23番「熱情」という曲があるんですが、7、8年前に大学の師匠から「『熱情』は弾かないでね。絶対向いてないから」と言われたんです。自分でも苦手なのはわかっていたけれど、すごく悔しくて。

 でも、自分に足りないものこそが、「熱情」を弾くために必要なものだったんです。その成果として1月に発売したセカンドアルバム『Heimat / 故郷』に収録するに至りました。

 

――アルバムに収録するということは、自分の演奏として確立されたんですね。ピアニストとして、どのような使命を感じていますか。

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三浦 ピアニストは、音楽として書き残された作曲家の生き様や、複雑な人間の感情、当時の時代背景を理解し、受け止めて、それを表現できる“器”でないといけないと思っています。だから誰よりも人生を生きていないといけないし、人間というものをわからなければいけない。そういう重たい使命をもった職業です。

 でもそこまで考えている人は少ないと思うので、その現実を変えていきたいですね。今はベルリンの音楽大学で教えていますが、そういうことを生徒にも伝えていきたいです。

 クラシック音楽が時代遅れの代物ではなく、時代と一緒に進化できる強さをもてるようになるには、音楽家の視野を広げることが不可欠なのではないでしょうか。それが、自分のこれまで学んできたものを次の世代に残せる道なんじゃないかなと思っています。

――今後はどのようなピアニストを目指したいですか?