東京と神奈川の都県境は多摩川……なんて思っている人は多いのではないかと思う。
確かにその通りで、羽田空港のある河口付近からアザラシのタマちゃんが出没した丸子橋付近までは、多摩川を挟んで大田区と神奈川県川崎市が向かい合う。それより上流は、世田谷区と川崎市だ。
実はさらに上流にさかのぼると、多摩川の南側まで東京都内がせり出してくる(稲城市や多摩市、町田市だ)。なので多摩地域の人にしてみれば、多摩川は都県境でも何でもないのだが、少なくとも区部にあっては川の向こうは神奈川県だ。
いかにもな世田谷エリアを抜けた先に…
だから、東京都心から神奈川方面に延びてゆく私鉄のほとんどは、多摩川で都県境を跨ぐ。中でも今回は、小田急線だ。
下北沢、経堂、成城学園前。いかにもザ・世田谷といった印象の駅をいくつも連ね、多摩川を渡って南武線と交差する登戸駅へ……。
ん……? いや、それで本当にいいんでしょうか。何か忘れていませんか。
そう、世田谷区を抜けて多摩川を渡るその直前、小田急線は小さな町を通り抜けている。
東京都狛江市――。区ではなく市、つまり多摩地域の町なのに、なぜか市外局番が042ではなく03という、なんとも特殊なポジションにありそうな町である。
狛江市は、人口約8万4000人、面積はわずか6.39平方キロメートル。なんたって、東京都内では最も狭い市で、それどころか日本全体でも蕨市に次ぐ“狭い市”ナンバー2。
だから……というわけでもないのでしょうが、その玄関口の狛江駅は小田急線の中でも小さな部類の駅に属する。

