「もっと頑張ればよかった」

竹内 めっちゃ頑張ればよかったです。もうシンプルに、もっと、もっと頑張ればよかったなと思います。もちろん当時は頑張ってたつもりでしたけど、ぜんぜん。もっとできたなって。

――それはネタ作りの話?

竹内 いや、ネタ作り「しか」頑張ってなかったんですよ。「オンエアバトル」で勝つことが全てだったんです。あの番組に呼んでもらって、10組中上位の5組に選ばれたら、全国放送の番組でネタが流れるじゃないですか。当時は人気番組だったので、みんなが観てたし、出たら地方の営業にもよんでもらえて。そこしか考えてなかったのが間違ってたなって。

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――じゃあ、他にどういうことを頑張るべきだったと思う?

竹内 もっとトークの技術を磨いたりとか、他の芸人と仲良くなって人脈を広げたりだとか。そういう、芸能活動のプラスになるようなことを、20代のころにもっともっとやっておけばよかったなっていうのを、おじさんになってから思いましたね。「とにかくネタさえ頑張っておけば」って、頭のどこかでひと種目を競うスポーツみたいに捉えてしまってました。

――自分もそうだったから、その感覚はすごくわかる。それにいま、M-1グランプリのステイタスがすごく上がって、どこかしら競技化されている部分もあるから。いまの若い芸人たちのなかにも、「とにかくネタを磨こう」っていう感覚の人は多いんじゃないかな。

竹内 そうかもしれませんね。でもやっぱり、ネタ以外の部分も頑張るべきだとは思います。そう思ったのは、僕が芸人を辞めて声優に転身してからなんですけど。以前アンタッチャブルの柴田さんと6年間ほど、麻雀番組のレギュラーをやってたんです。柴田さんと一緒に番組をやっていると「お笑い辞めてよかったな」って思いますもんね。

――柴田さんはバケモノだよ。って言うか、アンタッチャブルはふたりともバケモノだから。

芸人の世界では、努力では到達できないような規格外に面白い人のことを、敬意を込めて「バケモノ」と評することがある。

竹内 そうなんですよ。ひとりで突っ走ってガンガン笑いを取れる人なのに、元芸人である僕のことも尊重してくれて、おいしいところを振ってくれたりする気遣いもすごいんですよ。もちろん安易な無茶振りなんてしてこないですし。ああいう人を間近で観てたもんで「あーもう芸人なんて無理無理無理!」ってなりましたね(笑)。

――いや、柴田さんクラスはもう特別だから。あのクラスの芸人は何十人もいないよ。

竹内 僕、芸人さんに救われた話があるんです。元相方のやっくんが交通事故で亡くなって。当時はやっぱり、どこの現場に行っても、ものすごく気を遣われるわけですよ。取材の申し込みとかもすごかったから、仕事も2週間ぐらい止めて。現場に行ったら行ったで、ものすごく気を遣われるか、一切話しかけられないかの、どっちかで。

――なんて声をかけていいか、わからないだろうからね。