春菊かき揚げが完成したのとほぼ同時にタイマーが鳴り、そばを流水で洗い冷水でしめてから再度テボで温める。
つゆは1杯ずつ行平鍋に取り分けあたためる。そして湯煎したどんぶりに温めたそばを入れて、春菊かき揚げをのせてそこにアツアツのつゆをかけ、ネギをのせて完成である。時間は4分もかかっていない。
村山店主がトレイにのせて席まで持ってきてくれる。なんと素晴らしい手際のよさなのだろう。
軽くふわっと揚げられた春菊かき揚げは絶品
まずつゆをひとくち。やけどしそうにアツアツだ。鰹節を中心に出汁をとった口当たりのよい味である。むらさきのきれいな返しでつゆの甘味は強くない。そばは近隣の製麺所から仕入れていて、国産(北海道)のそば粉使用なので高いらしい。色は更科系で麺線は細めだがコシはよい。
丸くきれいな春菊天は軽くふわっと揚げられていて、箸でかんたんに切れる。食べるとサクッとして春菊の香りがよい。ころもは淡雪のようで、つゆに浸ると馴染んで溶けていく。
途中でカウンターにある一味唐辛子をかけて食べ進む。
外食チェーン店で身につけたノウハウはまさにプロフェッショナル
食べながら、素晴らしい手際のよさの村山店主のヒミツを聞いてみたのだが、まさに納得の経歴だった。若い時から大手外食チェーン店で働いていたという。40歳すぎから大手とんかつチェーン店に15年勤務。部下が大勢いる大型店の店長をしていたというからすごい。つまり、とんかつ、カツ丼、コロッケ、フライ、天ぷらはプロフェッショナル。
「私が作ったとんかつは抜群にうまいですよ」というわけである。メニューに「わらじメンチカツカレー」「カツ丼」「デカい肉コロッケ」などがあるのはそんな背景があったからだろう。夜の酒菜メニューにも、天ぷらや揚げ物が多いのも納得だ。
55歳定年後、東京の新橋駅近くにあった中堅外食チェーンの立ち食いそば屋「そば田」で店長を5年ほど勤めたという。私も何度か行っていたので会っていたかもしれない。

