そしてゆり香さんは、自身の幼少期の体験を続ける。

「私が小さい頃、勉強したくない時期もあったんですけど、そんなときにはいつも“勉強できることですら、すごくありがたいことなんだよ。お前はそれをわかっていないんだ”と、父に聞かされて育ちました。だからこそ、“実際の様子を見てみたい”というのもあって、こうして同行させてもらうことにしたんです」

 世界には、勉強したくてもできない子どもたちがたくさんいる。彼女の父は娘にそう説いたという。その言葉は、大人になった現在でもハッキリと記憶している。吉田がそうであるように、ゆり香夫人もまたチャリティ活動、ボランティア活動に対する関心が高かったのである。

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「夫は、相手の立場になって考えることをしない」

 2011(平成23)年3月11日――。

 東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災。福島第一原子力発電所事故による放射能汚染もあり、今もなお多くの被災者が「日常」を取り戻せずにいる。当時、大学生だったゆり香さんも現地に赴いてボランティア活動に励んだという。

「私は小さい頃から、映画やドラマを見て感情移入するタイプで、現実の出来事ならなおさらなんです。だから、困っている人がいれば手助けをしたいし、手を差し伸べることをしたい。ずっとそう考えていました。“興味がある”という言い方はちょっと違うけど、“私にできることがあるのなら、ちょっとでもいいから力になりたい”という気持ちが強いんです。それはかなり小さい頃から、ずっと思っていましたね」

 彼女にとって初めてとなるカンボジアにもうすぐ到着することもあって、その口調は明るく、そして強い。

「親となった今、個人的にはカンボジアの子どもたちが、どういう気持ちで生活しているのか、生きているのかに興味があります。たまたま生まれた環境や、育っている環境が違うだけで、自分が逆の立場だった可能性もあるわけじゃないですか。自分がそちら側で生まれたかもしれないし、大変な生活をしていたかもしれない。もしかしたら、何らかの犯罪に巻き込まれていたかもしれない。そう考えると、自分がもしもその立場だったら、やっぱり多くの人に助けてもらったら、“ありがたいな”と温かい気持ちになるし、その気持ちが他者への感謝の思いになる。そんな循環が生まれると思います。だから、ちょっとでも自分のできることをしたい。そんな気持ちがありましたね、今までずっと」