出産直後で心神が弱っている女性を、簡単な聞き取りだけで逮捕する判断にも蓮田氏は不信感を持った。未受診で孤立死産した女性の事件は珍しくない。本件が「未受診+孤立死産→即逮捕」の悪しき先例となることを避けなくてはならない、と考えた。
「赤ちゃんは青白く、だらんとしていた」
対する神戸北署は「逮捕は適正だった」と述べ、新たな情報を出した。報道各社の取材に対し、「解剖の結果、生きて生まれ、死亡していた」「死亡時刻は生まれた時刻とほぼ同時刻」と明らかにしたのだ。
勾留期限の2月6日、兵庫県警は殺人容疑で再逮捕した。「頭部から出てきた赤ちゃんの首をつかんだ」ことで首をしめて殺害したと発表。だが、蓮田氏の見解は兵庫県警とは異なった。
蓮田氏は見解文で、女性から聞き取った出産時の状況を以下のように記した(抜粋)。
1月24日(土)午前10時頃に自宅の風呂場でうずくまるような態勢で赤ちゃんを出産した。赤ちゃんは頭から出てきた。その頭を私が自分の手で支えながら赤ちゃんは産まれた。赤ちゃんは産まれた時に色は青白く、動かず、だらんとしていた。泣き声をあげなかった。首には臍の緒が数回巻いていた。その状況から赤ちゃんは死んでいると判断した。出産後は痛みなどで動けず30分ぐらいぼーっとしていた状態だった。
蓮田氏は、兵庫県警をこう批判した。
「今回の逮捕容疑は私が〓〓さん(※原文は逮捕された女性の実名)から聞いた状況と矛盾していますので、私は取り調べ自体に不信感を持っています。今後、警察には明確な証拠を提出していただくべきだと考えます」
なお、本人は殺人容疑については一貫して否認している。
分娩介助で「首をつかむ」のは一般的
神戸地検が傷害致死罪に「格下げ」して起訴したのは、殺人容疑での再逮捕から3週間後の2月27日。この3週間の間には、もうひとつの動きがあった。それを以下に記す。
2月12日、蓮田氏が神戸地方検察庁を訪ね、意見書を提出した。司法解剖結果と殺人容疑を結びつける根拠は乏しいとして、次のように指摘した。